施工性に優れ、環境にやさしい新たな吹付のり枠工『GTフレーム工法』の施工実績が伸びている。同工法は、吹付材に植物の生育が可能な改良土を用いることにより、のり枠面を含む全面緑化を実現。モルタルや鉄筋の使用を抑えることで、CO2排出量や廃棄物を大幅に削減できるのが特長だ。
補強土植生のり枠工協会(事務局=岐阜県大垣市、イビデングリーンテック内)によると、2006年の工法初採用以降、累計施工件数は388件(累計施工面積23万8445㎡)に上り、とりわけ09年の建設技術審査証明取得後は飛躍的に増加。県市町村はもちろん、国土交通省や農林水産省、NEXCOの発注工事でも採用されている。
長野県内では、08年に白馬村八方の県単砂防維持修繕工事で採用されたのを皮切りに、今年6月現在で国、県市町村合わせて32件の施工実績がある。
6月21日に長野市内で開かれた技術講習会には県内各地から130人が参加。国や県市町村職員の姿も多数あり、受・発注者を問わず高い関心が寄せられていることを伺わせた。
講師の森本泰樹・補強土植生のり枠工協会副技術委員長は「環境への配慮は社会の要請。『GTフレーム工法』は美観に優れた全面緑化が可能なことから緑地公園内での施工実績も多い。モルタルや鉄筋を使用しないため、CO2排出量は従来工法の5分の1程度まで抑えられる。さらに、枠内シート養生や吹付材のリバウンド処理が不要であり、廃棄物を大幅に削減できる」と、環境負荷の低減につながる特長を説明。「施工が容易であることから、大幅な工期短縮、コスト削減にもつながる」と紹介した。
また、東日本大震災に見舞われた施工箇所での調査結果を紹介し、「施工中だった1カ所で法肩部の亀裂を確認したが、震度6強を観測した宮城県美里町や仙台市太白区秋保町をはじめ、施工済みの11カ所に異常はなかった」と、耐久性に優れている点も強調。「モルタル吹付のり枠で懸念されていたひび割れによる鉄筋の腐食といった問題が生じないことも強み」という。
同工法の設計・施工マニュアルは一般財団法人土木研究センターから発刊中。問い合わせは補強土植生のり枠工協会事務局(℡0584-81-6838)へ。
【写真㊤=長野市内で開いた技術講習会は満員の盛況ぶりだった。㊦=講師を務めた補強土植生のり枠工協会の森本泰樹副技術委員長】