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(独)都市再生機構

大室地域約40haを事業区域から除外/柏北部東地区 区画整理に代わるまちづくり検討

2012/12/10 日刊建設タイムズ

 UR都市機構は、昨年4月の事業評価監視委員会の意見を踏まえて、柏北部東地区(一体型土地区画整理事業)の大幅な見直しに向けて検討・調査を進めてきたが、反対者の多い大室地域約40haを区域から除外し、事業区域を縮小する方針を固めた。これを受けて、本年度の同地区まちづくり推進方策等検討業務(URリンケージが担当)において、区域から除外する整備未着手エリアの将来像やモデル事業の検討などを柏市や地権者の協力を得ながら行い、2013年度に区域の縮小を含めた事業計画の変更を行いたい考えでいる。

 柏北部東地区は、つくばエクスプレス整備に伴う一体型土地区画整理事業として、URが施行者となり01年3月に事業着手した。施行面積は169.9ha、計画人口は約1万7000人、つくばエクスプレスの最寄り駅は柏たなか駅。タウンコンセプトは「やすらぎのある暮らし」「健康と利便性を感じる生活空間」「農との交流」。また、土地所有者は600人余り、仮換地指定率は48.5%(12年2月1日現在)、使用収益開始率は19.6%(同)。

 事業期間は現在、19年3月31日(清算期間を含む)としているが、URがニュータウン事業から13年度までに撤退することが決定しているため、それまでに工事を完了させる必要がある。しかし、古くからの営農者が多い大室地域の地権者が事業に反対し、地区除外要求が一昨年出されるなど、一部で事業に協力を得られない状況が今も続いており、整備完了の見通しが立っていない。このためURは、同地域を区域から除外するなど事業計画を大幅に見直し、13年度の換地処分を目指すことにした。

 このURの計画見直しに対して地元の柏市は、すでに整備済みの区域や使用収益が開始されている権利者に極力影響を与えないことを条件に、やむを得ないものとして受け入れる考え。また、アンケートでは地元地権者の約6割が今のままでの事業継続を望んでいることもあり、今のところ、区域から除外させれる大室地域を市街化調整区域に戻すなどの逆線引きは行わず、市街化区域のままで、希望者対しては営農が継続できるようなまちづくりを、URとともに検討したいとしている。

 しかし、区域を除外する場合、鉄道施設区底地等からの飛び換地の処理、鉄道施設区への集約換地のために行った先買い地の処理、すでに住宅等を建築している地権者への対応や補償交渉を行っている地権者への影響、区域除外後の取付道路等の境界部分の新たなインフラ整備の必要性、柏市などの新たな財政負担など課題も多い。

 URが本年度進めるまちづくり推進方策等検討業務は、①整備未着手エリアの将来像に係る検討②整備未着手エリアの見直し計画案策定に係る合意形成支援③モデル事業の検討④関係機関等協議資料の作成が内容。

 ①に関しては将来像を検討するとともに、土地区画整理事業を前提としない規制・誘導方策(地区計画素案等)の検討、②に関しては大室地区全地権者(約350人)を対象とした意見交換会の開催、③に関しては公的機関や早期土地活用希望者の所有地を活用したモデル事業の提案やモデル事業成立性の検証、土地活用意向を踏まえた土地の土地交換分合のケーススタディ(20ケース程度)、交換分合に伴う課税コスト等の試算を行う。

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