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千葉県県土整備部

津波対策を追加し事業を「継続」/流域懇 残事業は真亀川3.9km、作田川6.8km

2013/03/11 日刊建設タイムズ

 真亀川と作田川の流域懇談会が7日、山武市の成東文化会館で開催され、事業の再評価と津波対策についての審議が行われた。その結果、両懇談会とも今後の事業の対応方針として、残事業区間について、事業を「継続」し、津波対策事業を「追加」して計画的に事業完了を図ることとする事務局案を妥当とした。津波対策は堤防方式を採用し、作田川は片貝漁港の河口から若潮橋付近までの約1.7㎞について現況から0.1~1.9m嵩上げし、真亀川は河口から1.4㎞の区間について現況から0.5~1.5m嵩上げする方針。

 津波対策では「堤防方式」と「津波水門方式」の2つの方式を検討したが、「津波水門方式」は、地震時に確実に閉鎖できるか、津波発生時の操作員の安全性の確保、定期的なメンテナンスの必要性など多くの課題があるとして「堤防方式」の採用を決定。堤防の基本構造は、用地買収が難しい場所はパラペット方式とし、用地の取得が見込める場所は嵩上げ方式で対応する方針。

 津波対策は、両河川とも2011年度で現況調査を実施し、本年度から関係機関との協議や地元説明会を開催するとともに詳細設計や用地測量などを実施。真亀川は本年度、広域河川改修(復興)事業として、龍宮橋付近を対象に左岸0.2㎞と右岸0.9㎞で工事を施工していることが報告された。

 事業の再評価では、事業の必要性(洪水対策、津波対策)、事業の進捗の見込み、コスト縮減や代替案立案の可能性、の各視点で検討。

 事業の投資効果は、これまでの建設費と今後の建設費に事業完了後50年間の維持管理費を加えた総費用と、事業完了後50年間にわたって治水効果を発揮するものとしてその期間の被害軽減額を算出した総便益を比較し、費用対効果を検討。真亀川は総費用39億円に対し総便益77億円で費用対効果が2.0、作田川は総費用143億円に対し総便益1275億円で費用対効果が3.9となり、ともに投資効果が認められた。

 社会経済情勢等では、両河川とも周辺に住む人々の河口付近で津波対策への関心が高く、真亀川は未整備区間での内水害も治まっておらず、地元からの整備に対する強い要望があり、東金市街地の内水被害を解消する必要性も指摘された。作田川は、床上浸水対策特別緊急事業で市街地地区での水害は減少したが、市街地地区より地盤の低い水田地区では水害のリスクは解消されていない-などの状況がある。このほかコスト縮減や代替案では、調整池設置等の代替案より、現計画が用地買収が少なくて済むなどのメリットがあり有利であるとして、現計画を継続する対応方針を妥当とした。事業の進捗率は、真亀川が約77%、作田川が約75%。

 真亀川の対象事業は、中小河川改修事業、広域河川改修一般事業、総合流域防災事業の3事業。このうち、河口から北幸谷合流点までの約5.7㎞を整備する中小河川改修事業は1984年度に完了し、北幸谷合流点から中橋までを整備する広域河川改修一般事業は2011年度に事業を完了。本年度から上流部の東金市の中橋から田間2区排水路流入点までの約2.5㎞を対象に総合流域防災事業に着手し、2026年度までの15年間を事業期間として事業を進める。

 一方、作田川は、河口の九十九里橋から源川合流点までの約15.9㎞について、10年に1回程度起こりうる洪水を対象に、計画高水量を基準点の成東付近で100立方m/s、河口付近190立方m/sとし、小規模河川改修事業、広域河川改修事業(基幹)、住宅市街地基盤整備事業、床上対策特別緊急事業などにより河川の拡幅・掘削・築堤・堰の改築などの事業を進めている。事業の進捗は、これまでに河口から加持橋までの区間の計画断面が概成し、加持橋から八反目橋までの約3.5㎞と中金ヶ谷橋から源川合流地点までの約1.6㎞が残事業として残っている。

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