四街道市の市役所庁舎の建て替え等について検討する「四街道市庁舎整備検討委員会」(委員長・中野克彦千葉工業大学工学部都市環境学科教授)の第2回目が先月26日、四街道市保健センターで開催され、事務局から基本計画に盛り込む「現庁舎の現状と課題」の素案が提示された。素案は、庁舎の課題として①老朽化②狭あい化③情報化④バリアフリー等の対応⑤利便性⑥耐震性の6項目を挙げ、早急な対応を求める内容となっている。
素案は現庁舎について、施設の老朽化とともに執務空間の狭あい化、高度情報通信社会に対応した各種情報システムの構築、バリアフリーの対応などで、庁舎として十分機能していないとして、庁舎の改修・改築計画の作成が早期に求められるとしている。
基本計画は、①現庁舎の現状と課題②庁舎建設の基本理念③庁舎に求められる役割と機能④建設事業費と財源⑤事業手法などを柱に構成する予定。本年6月には佐渡市長が基本計画を委員会に諮問する予定で、8月をめどに委員会が答申を行う予定。
市庁舎の基本理念では、①防災拠点②ユニバーサルデザイン③経済④市民サービスの向上の4項目が盛り込まれる予定で、具体的な内容は今月開催される第3回委員会での検討課題となる。
このほか庁舎に求められる役割と機能では、①議会機能②窓口機能③執務機能④防災機能⑤総面積などが予定されている。
市役所庁舎の整備では、昨年度で市庁舎耐震化優先度調査を実施。地震リスク分析などから最も費用対効果の高い案として「本館3階建て・本館平屋改築、新館耐震補強」が提案されており、同案をもとに検討委員会での議論が進められている。
優先度調査は、市役所本館、本館平屋、新館、第2庁舎、消防庁舎の5棟を対象に実施した。1978年の増築工事に伴う地質調査をもとに表層地盤モデルを作成し、地盤モデルから敷地の揺れやすさ(増幅率)を評価し、敷地の地震リスク分析を行い、陸域の浅い地震(震度6強を想定)、南海トラフの連動地震(震度5強を想定)の2つのシナリオを作成し、地震災害発生時の被害を予測した。
その結果、本館3階建て、本館平屋建ては今後40年以内(2052年)に大破以上の被害となる可能性が高く、人命の安全性の観点から対策を講じる必要があるとの結論に達した。
これをもとに、補強・改築について、いくつかの組み合わせパターンを設定し、維持管理費等を比較検討し費用対効果を分析した。その結果、補強・改築パターンの中で、本館3階建てと本館平屋建てを改築し、新館を耐震補強で対応する案が費用対効果が最も高いとされた。同案では概算事業費を改築費約18億2795万円、耐震補強費を約2億542万円と試算している。耐震化優先度調査は構造計画研究所(東京都中野区本町4―38―13)が担当した。
市役所庁舎は1969年6月に現在地に移転し、第2庁舎は72年建設の旧四街道郵便局を97年に買収し、改修工事を実施した。本館は耐震診断でのIs値が0・25と低く、2011年3月11日の東日本大震災の教訓を踏まえ、市役所機能とともに防災拠点として市民生活の安全・安心を確保するための早急な対応が求められている。
建物規模は、本館がRC造3階(塔屋1階)建て延べ約2391・40㎡とRC造平屋建て延べ676・35㎡(いずれも69年6月竣工)、新館がRC造地下1階地上5階建て延べ3162・54㎡(80年1月竣工)、ほかに介護保険課棟がプレハブ(鉄骨ユニット)2階建て207・04㎡(99年3月竣工)など。
また第2庁舎は、所在地が鹿渡2001―10地先で、建物は97年3月の竣工。2階部分は市の教育委員会が利用している。建物規模はRC造2階建て延べ1042・98㎡。
一方、消防本部庁舎は所在地が鹿渡934―5地先。建物は72年4月の竣工で、規模はRC造3階建て延べ895・18㎡。
同委員会は、庁舎の耐震化または建て替えの整備方針等について検討するため設置された。委員は学識経験者や関係団体代表、市民からの公募委員など10人で構成。