柏市の柏駅西口北地区約3・8haにおいて、6月に二つの市街地再開発準備組合が発足した。一つは、高島屋や岡田病院のあるAB街区市街地再開発準組合(岡田敏英理事長、組合員40人)、もう一つは柏市が用地の一部先行取得を行っているC街区市街地再開発準備組合(石戸喜二理事長、組合員26人)。また、準備組合設立の動きに合わせて柏市は本年度、タカハ都市科学研究所(東京都港区西麻布1-3-2)へ事業化推進業務を委託しており、地権者等の合意形成とともに施設計画の概略検討や権利変換計画案の作成を進めるなど、事業化を支援することにしている。
柏駅に近接する柏駅西口北地区は、1985年8月にまちづくり協議会が発足。2010年6月に約4・7haを対象として地区再生計画を決定するとともに、昨年5月にはAB街区、C街区の各準備組合検討会が組織された。その間、末広あけぼの線沿道のB街区の一部(0・49ha)については、96年から00年にかけて組合施行による沿道再開発型街路事業が行われ、総事業費90億円を投じて業務・ホテルを用途とする再開発ビルが完成している。
今回、準備組合が発足したのは、整備済みのB街区の一部(B-2地区)を除いた約3・8ha(地権者約100人)で、AB街区が約2・5ha、C街区が約1・3ha。地区再生計画では、区画道路によりA、B、C3つの街区に分けていたが、準備組合はAB街区一体で発足した。
A街区には高島屋や岡田病院が立地するものの、地区全体としては低層の建物が多く、更新が遅れており、防災安全上も課題を抱えている。このため地区再生計画では、柏駅中心市街地の一翼を担う拠点地区の形成を目指して、①広域生活文化拠点にふさわしい都市環境の形成②快適な交通ネットワークの形成③防災性・安全性の向上を地区整備の基本方針としている。
具体的には、柏駅西口北地区の商業・業務機能を高めるとともに、高齢者や子育てを支援する医療・福祉、教育・文化施設等生活サービス機能の充実を図り、多世代が快適に暮らすことができる都市型住宅を適正に配置。また、柏駅西口における幹線街路と地区内街路を整備することで回遊性を確保し、自動車・バス等の利便性の向上、救急車両への対応、安全で快適な歩行空間の創出を目指す。
各街区の土地利用に関しては、高島屋や岡田病院が立地するA街区は商業・医療等、B街区は業務・住宅等、C街区は住宅・商業・文化・教育等を主体に考えているが、A街区とB街区は一体的に施設の配置を検討する。地区内の都市計画用途地域は商業地域で、容積率400%(一部駅寄り600%)、建ぺい率80%。再開発事業が具体化すれば、高度利用地区の指定も想定される。
公共施設に関しては、既決定の末広あけぼの線(W25m、L約270m)のほか、区画街路(いずれも仮称)として末広町通り線(W16m、L約120m)、一小通り線(W12m、L約280m)を計画しているが、A街区とB街区を区分する末広町通り線については、AB街区一体で施設配置を検討することから、必要があれば位置や線形を見直す。
各準備組合は今後、地権者等の合意形成を図りながら、来年度以降に事業協力者の選定や都市計画決定に向けての手続きを進め、事業認可を目指す。なお、A街区の高島屋は建設から今年で40年、岡田病院は40年以上を経過している。