土浦市学務課は、市内2カ所に立地する給食センターの老朽化に伴い、再整備を計画。玉野総合コンサルタント㈱東京支店(東京都荒川区)で基本構想の策定を進めており、本年秋口までに策定する。今月23日には、5回目となる学校給食センター再整備基本構想策定委員会を開催し、市立学校給食センター再整備基本構想(素案)を提示した。素案によると、新給食センターは1カ所で新設、事業手法にはDBOやPFIを採用する可能性が高い。なお前例から算出した施設の規模として、延べ床面積5760㎡、概算事業費約32億8320万円が示された。
市給食センターは、下高津に第1、中神立に第2が立地しており、第1は築42年、第2は築37年が経過。施設設備が老朽化し、耐震基準や学校給食衛生管理基準への対応など、解決すべき課題が多いため、現センターの現状と課題を踏まえ、市が目指す学校給食センターの整備更新に向けた構想を策定する。策定に伴い、市は基本構想策定委員会を立ち上げた。実務は玉野総合コンサルタント㈱東京支店が担当する。
今月23日には5回目の委員会を開催し、基本構想(素案)が示された。素案ではまず現状を分析。現施設の老朽化と耐震性能、設備の老朽化、衛生管理基準の遵守、食物アレルギー、センターにおける食育などへの対応が必要とした上で「現敷地における建て替えは困難」とし、新たな場所へ学校給食センターを整備することが必要とした。
続いて、新学校給食センターの基本方針として①「安心・安全」につながる設備・機能を有した②望ましい食環境が提供できる③食育・地産地消が推進できる④環境負荷低減に配慮した⑤合理的・効率的に給食が提供できる-給食センターを掲げた。
また児童・生徒数の推計から基本食数を1万2000食、最大提供食数を1万3200食に設定。
建て替えパターンでは1センターと2センター方式を検討。用地取得の可能性やコスト面におけるメリットから「1センター方式の優位性が高い」とまとめた。
また学校給食センターは、建築基準法で施設用途上は工場として位置づけられ、基本的には工業地域・準工業地域・工業専用地域において整備するため、市内の同地域を抜粋。市の中心部から最も離れている北部地からでも、トラック台数を増加すれば「学校給食衛生管理の基準」で定められている「調理後2時間以内の喫食」が可能との結果がでた。今後は4つの視点(①法規制②環境面③施設条件④コスト)から、用地を検討していく。
施設計画の基本条件としては、対象学校が幼稚園5園、小学校20校、中学校8校で、供給給食数が1日あたり1万2000食、稼働日数は年約200日。
敷地面積、延べ床面積は、供給給食数を円滑に供給できる面積とし、構造は官庁施設の総合耐震計画基準等に準拠した構造を今後検討する。
厨房はドライシステムを採用し、HACCPに対応。アレルギー食の専用調理室を設置するほか、残渣は厨芥処理施設の設置を検討している。
また食育のため、調理作業工程が視認できるようなレベルでの見学スペース、調理実習室および研修・会議室を設置する。排水は下水への放流とするが、除外施設設置を検討する。
このほか学校給食センターの汚染・非汚染作業区域を区分。原材料の鮮度等の確認や根菜類等の処理を行う検収室、食品の保管室、下処理室、返却された食器等の搬入場、洗浄室を汚染作業区域。調理室、配膳室、食品・食缶の搬出場、洗浄室を非汚染作業区域とする。その上で、これらを壁で完全に分離する構造とするなど、学校給食監理の基準を遵守した配置区分を基本し、ゾーニングのイメージ図を示した。
自然エネルギーの有効利用としては、屋上等への太陽光発電パネル設置のほか、雨水の貯留利用(便所洗浄水や植栽散布)など予定している。
また食数が類似する学校給食センターの延べ床面積と建設費のデータをもとに、概算事業費の目安を検討。1㎡あたりの建設費57万円に、食数から計算した延べ床面積(5760㎡)を乗じ、約32億8320万円が算出された。
事業手法では、従来方式、外部委託方式、リース方式、DBO・DB方式、PFI方式のメリット、デメリットを検証。起債調達による財政縮減効果の高いDBO方式や、先行する事例が多く財政縮減効果が働く可能性の高いPFI方式が優位との結果になった。
今後、現在すでに民間委託している調理業務は民間が実施することを前提とした上で、建設用地や事業スケジュールなどを踏まえた検討を行い、最終的な事業手法を決定していく。
事業の流れとしては、年内にあと1~2回の基本構想策定委員会を開催し、秋口までに玉野総合コンサルタント㈱東京支店でまとめる。
【エクセルデータ=学校給食センター施設計画の基本条件】