農林水産省関東農政局の2013年度国営土地改良事業等の事前評価で、本県の国営かんがい排水事業(国営施設機能保全事業)大利根用水地区(旭市ほか)が「事業着手の要件を満たしている」との評価結果を得た。この評価結果を受け今後、来年度の着工に向けて、土地改良法に基づく土地改良事業計画の概要公告などの法手続きが開始される。
同事業は、旭市、匝瑳市、香取郡東庄町及び山武郡横芝光町の4市町の約8832haを受益地として、14~23年度の10か年で総事業費37億円を投入し、揚水機場3か所、排水機場1か所、用水路9・3㎞、排水路0・2㎞の事業を実施する。受益者数は1万235人。
総事業費37億円の内訳は、揚水機場3か所の改修が25億6500万円、排水機場の改修が8億5400万円、用水路の改修が2億2900万円、排水路改修が5200万円。
事業の事前評価では、総費用総便益比の算定で、総費用549億7000万円(事業費28億7700万円とその他費用520億9200万円)に対し、総便益額は840億300万円で、便益比は1・52となり、総便益が総費用を上回った。また、揚排水機場及び用排水路の機能保全対策により、農業用水の安定供給が図られ、水稲及びスイートコーン等の生産量が増加する効果が年41・8億円、災害防止効果も年0・8億円等が見込まれるとの評価が得られた。
同地区の基幹的な農業水利施設は、1970年度から92年度に実施した国営大利根用水土地改良事業により整備されたが、造成後約30年が経過し、揚排水機場及び用排水路はひび割れ、摩耗等が発生し、機械設備は機器の故障等による施設の性能低下が生じている。今後はさらに施設の維持管理に多大な費用と労力を要するとともに、農業用水の安定供給と湛水被害の防止に支障をきたすことが予想されている。
このため、同事業により農業水利施設の機能を保全するための整備を行うことで、施設の長寿命化、施設の維持管理の費用と労力の軽減、農業用水の安定供給及び湛水被害の防止を図り、農業生産性の維持、農業経営の安定及び農地等の保全を行うことにした。
地元では、本年2月に関係市町及び土地改良区からなる大利根用水地区国営施設機能保全事業推進協議会が、14年度事業実施に向けた推進について了解し、本年3月に大利根土地改良区総代会及び干潟土地改良区総代会で14年度事業着工要求が決議された。