鹿島建設(社長・中村満義氏)が施工を進めていた東京都品川区の臨海副都心と大井を結ぶ一般国道357号東京港(海底)トンネルがこのほど貫通した。小土被り、軟弱粘性土層の海底シールドトンネルで、延長約1470㍍、内径10・4㍍。泥土圧式シールド工法によって短期間で貫通。工期は2010年12月~2014年3月(約39カ月)。首都高速道路湾岸線の慢性的な渋滞緩和を目的として新たに建設するもの。小土被り(0.5D:シールドマシン直径の半分の深さを掘削)で、軟弱な粘土層を通過する海底シールドトンネルであることや施工期間の短縮などの課題があった。
同社は工程を短縮させるため、地上から後続台車を連結して発進し、そのまま地上へ到達する工法を採用した。地上発進部や地上到達部ではシールドマシンの姿勢制御が難しいが、過去のトンネル工事(北海道新幹線・津軽蓬田トンネル、2012年10月到達)で得た知見をフルに活用し、貫通させた。とくに海底掘削部は小土被りで非常に軟弱な地質であるため、掘削したトンネル自体が浮力で浮き上がる懸念があったが、掘削後すぐにトンネル坑内に重しを置くことでこれを防止し、この重しをそのまま床版として利用した。
さらに床版の一部をボックスカルバートとし、坑内での資材運搬にダンプトラックを使うことを検討、「ボックスダンプ工法」を考案し、実施した。同工法はセグメント幅に合わせた奥行き2㍍のプレキャストコンクリート6ピースからなる床版を、セグメント組立の後方ですぐに設置。従来工法に比べ工程が半減できることや現場作業を低減するなど、「安全性、作業効率の向上が図られた。来年3月末の竣工に向け、残る二次覆工などの仕上げ工事にも、安全・品質に万全を期して施工にあたります」(同社)とコメントした。