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新潟県長岡市

長岡市が地下水保全へ永続的利用方策探る

2013/12/28 新潟建設新聞

 長岡市で25日、「長岡市地下水対策検討委員会」の初会合が開かれ、地下水の永続的利用を図るための意見交換が行われた。 同委員会は、市民・事業者代表、商工会議所、国および県・学識経験者・行政機関の9人が組織。オブザーバー1人を加えた構成で、有効的な地下水の利用法や問題に係る情報収集、共有を目的に活動する。

 開会に際してあいさつした森民夫市長は、「市内の消雪井戸は、毎年200本増えている。ここ10年の豪雪で地盤沈下や井戸涸れの心配もある。地下水利用の節度を保つことは、消雪パイプ発祥の地としての責任。永続的に有効利用するため検討をお願いする」と要請。

 また、会長に選任された大塚悟・長岡技術科学大学工学部教授は「県内では、消雪パイプによる地下水の変動がある。市のモニタリングの現状を見て意見をいただき、2回目以降の会議では具体的な方策を検討したい」と抱負を述べた。

 協議では、事務局が長岡市の地下水利用の状況を説明。市の地下水保全対象地域に指定されている長岡・中之島・越路・三島・与板には、現在約2万5000本の井戸があり、用途は94・5%が消雪用。このうち個人用が68・3%、事業者用17・3%、消雪組合用6・8%の割合となっているが、揚水量の61・7%は事業用使用が占めている。

 さらに「近年の大雪と消雪パイプの延長増加により、地下水位が年々低下傾向にある」と指摘。市内21カ所の地下水位等観測井による観測体制に言及し、2012年度の調査結果を報告した。

 それによると、12月上旬からの断続的な降雪による3年連続の大雪が起因で、2月下旬には県立長岡高校地下水位観測井等が過去最低の水位を記録。市道消雪パイプのうち51カ所で、汲み上げ不能となったと述べた。

 また、地盤沈下の本年8月末現在の観測データは、川西地区の蓮潟中央公園地点で25・8m、川東地区の南陽北緑地で2・6㎜。具体的な被害発生はないが、今後の動きを注視する必要があるとし、市が取り組んでいる地下水節水パトロール、長岡市地下水保全条例の制定、地盤沈下注意報発令等の概要を説明した。

 事業者の委員からは、「大口事業者としての利用で、店舗の駐車場での消雪用がほとんどを占める。環境ISOへの取り組みに地下水の節水も含めているが、検討課題が多い」した。また、「降雪感知器を最新のものに更新し、汲み上げ抑制に努力している」等の意見が聞かれた。

 事務局側は、来年2月か3月に次回の会合を開催する予定で、節水パトロール隊の活動状況を見る現場視察も計画。地盤沈下注意報発令状況等の中間報告を行う。

【写真=森市長があいさつ】

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