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4つのゾーンに再編/遊園地は子どもゾーンに/動物公園リスタート構想案/千葉市

2014/01/14 日刊建設タイムズ


 千葉市は、開園から四半世紀以上が経過し、施設の老朽化が進む動物公園のリスタート構想(案)をまとめた。開園50周年の2034年を目標に、ゾーンの再編や展示方法の工夫などにより、特徴ある動物展示の実現を目指すとともに、教育拠点となるビジターセンターを新設し、教育・普及活動の充実を図る。ソフト面では、種の保存や調査研究活動に、より積極的に取り組み国際的動物園へ脱皮。また、ホスピタリティの充実や民間企業等との連携で集客力の向上を図るほか、民間活力の導入、市民参加、再生可能エネルギーの積極的活用などにより持続可能な運営体制を構築する。市は市民の意見も聴いたうえで、2014年度から同構想に基づく取り組みを開始する。

 これまで、遊園地を含めると8つのゾーンでテーマに基づいた動物展示を行ってきたが、動物の高齢化による一頭飼い、入手困難な動物種の増加等によりテーマ性を維持することが困難になったことから、モンキーゾーン、動物科学館、子ども動物園、小動物ゾーン、家畜の原種ゾーン、草原ゾーンを森林ゾーン(動物科学館)と平原ゾーン、鳥類・水系ゾーンを湿原ゾーン、遊園地を子どもゾーン(ビジターセンター)の4ゾーン+大池に再編。展示方法の工夫など「プラスα」の要素を加える。

 森林ゾーンには、アジアやアフリカ、アメリカの森林に生息する動物を展示。食性や行動の違いを観察できる仕掛けを作るほか、植栽等の配置により森林の中で動物を観察できるような疑似体験を可能とする。また、木の上で生活する動物と、地面の上で生活する動物を同時に展示する「複合展示」を実施する。

 平原ゾーンも同じくアジアやアフリカ、アメリカの動物を展示。草原ではキリンや他の草食獣、鳥類との混合展示を行うほか、草食動物とそれを捕食する肉食動物を展示し、アフリカの生態風景を再現。モウコノ馬など絶滅危惧種の繁殖にも積極的に取り組む。

 子どもゾーンは、遊園地跡地に配置し、モノレールから動物園の楽しさが感じられるよう工夫する。ポニーの乗馬などの場を設けるほか、新たにビジターセンターを設置し、学校等の団体の受け入れの場や学習・教育活動の拠点として活用。さらに子どもたちが小動物に直接触れる場を常設するとともに、人間とかかわりの深い家畜の展示、遠足等に利用できるパーゴラなどの大規模休憩施設、ジャブジャブ池も設置する。

 湿原ゾーンには水辺の動物や空中を飛ぶ動物を展示。ケージの拡充等により、大型の鳥類が飛翔する様子などが観察できるよう展示手法を改善。水辺の動物については、ビーバーのダムづくりの様子などが観察できる仕掛けを設置するなど、動物らしい行動を促す環境を再現し、来園者が動物との一体感をより強く感じられるような展示方法を取り入れる。

 このほか大池は、全体を大型のビオトープとして位置づけ、野鳥だけでなく、生物多様性や生態系を観察し、体験することができる自然あふれるエリアとして活用。山野草等の植栽、昆虫飼育等を付加し、豊かな里山を再現。季節の変化を楽しめる場としてPRし、散策路を整備することで、新たな来園者の獲得につなげる。

 短期的(第1期)には子どもゾーンの整備(パドック・休憩施設整備、遊園地取り壊し、ビジターセンター整備、森林ゾーンへの経路整備)、森林ゾーンのうち科学館の展示改善、草原ゾーンのうち家畜の原種ゾーン撤去・移動、猛獣(ライオン等)導入、湿地ゾーンのうちビーバー舎の整備に取り組む。

 動物公園(若葉区源町)の総面積は約34ha。その半分は林や芝生などの緑地が占め、動物の放し飼い総面積は約1・7ha、動物獣舎は167室ある。また、駐車場の面積は約4・6haで、普通車で1500台を収容できる。


廃止される遊園地_R001591.JPG

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