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国交省田村秀夫技術調査課長インタビュー

2014/05/13 本社配信

 公共工事品確法改正案において発注者責務の中に受注者の適正利潤確保が追加されることなどを背景に、国土交通省は予定価格のより適正な設定に向けた検討に入る。日本工業経済新聞社では、検討の中心となる大臣官房技術調査課の田村秀夫(たむら・ひでお)課長にインタビューし、現行の問題意識や論点、方向性を聞いた。




 ―予定価格について「品質確保と中長期的な担い手確保の両立」という視点から検討する経緯は


 田村 もともと今の予定価格は、予決令の中で、取引の実例価格や需給の状況などを考慮して適正に設定しなければならないと規定されている。取引の実例価格をみると、実際の取引価格には一定の幅がある。それを予定価格に反映する際は平均値、最頻値を使っているが、本当にそれが市場の実態を代表するものなのかという問題意識がある。一方で予定価格には上限拘束性があり、1円でも上回れば落札できないことになっている。上限拘束性を前提とした時に、予定価格として何をもって適正な価格といえるのか、もう一度考えてみる必要があるのではないか。実際には幅のある実勢価格を予定価格に反映させる仕組みを検討したい。市場そのものに幅がある中で、一方で上限拘束性という予定価格の性格を踏まえた時に、本当に今の設定方法が実態と合ったものになっているのか。実態の幅の中で、どこに線を引くべきかを考えなければならない。


 ―検討の背景には国会で審議中の公共工事品確法改正案もある


 田村 品確法改正案の中では、発注者責務の中に、受注者の適正な利潤の確保が明記されている。中長期的な担い手の確保、育成を図る上での適正な利潤という考え方で、例えば地域の社会資本の維持管理、災害対応を担う企業が、中長期的に健全に経営ができる、人材を育成できるということを踏まえた時に、それらに対する費用をどうとらえるか。予定価格の中であらためて考えなければならない。予定価格とは何かという原点に戻って検討することになる。


 ―土木の一般的な工事で予定価格の約一割を占める一般管理費の見直しも論点となっている


 田村 中長期的な担い手確保のための各種費用、あるいは企業が資材、機材の面も含めてきちんと活動できるということに対して、予定価格の中でどうみるか。これはそもそも、地域の担い手としての企業とはどういう役割を果たすのかということを含めての検討になる。


 ―予定価格見直し全般の検討スケジュールについて


 田村 国会審議中の品確法改正を踏まえて建設生産システムをできるところから見直していかなければならない。予定価格についても、できるだけ早く一定の方向性を出せればと考えている。



【写真=実勢の幅を反映した予定価格の検討について話す田村秀夫技術調査課長】

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