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神奈川県相模原市

相模原市が下水道施設維持管理計画・地震対策事業計画を策定

2014/05/29 日本工業経済新聞(神奈川版)

 相模原市はこのほど、下水道の長寿命化対策の考え方を盛り込んだ下水道施設維持管理計画及び大規模地震への対応方針となる下水道施設地震対策事業計画を策定した。

 維持管理計画では今後、老朽化が進む下水道施設の維持管理を図るうえで、投資的費用の平準化などの観点から、これまでの対症療法的なものを見直し、予防保全的なものに転換し、施設の長寿命化を図っていくもの。25年度に策定した市土木施設維持管理基本方針の個別計画という位置付けだ。

 一方、地震対策事業計画は、同市を含む南関東地域でマグニチュード7クラスの地震が発生する確率は30年間で70%と言われているなか、下水道施設の総合的な地震対策は喫緊の課題となっているとの認識の下、重要な施設及び重要な幹線等の耐震化を行う。大規模地震の発生に対し、住民の根幹的なライフラインとしての重要な機能(トイレの使用の確保、浸水の防除、及び公衆衛生の保全)の信頼性を確保し、住民の安全、安心を確保することを狙う。22年度に取りまとめた下水道ビジョンに掲げる重点施策の一部を具現化したものだ。

 同市が管理する下水道施設は24年度末で管路2、804㎞、中継ポンプ場7箇所、マンホールポンプ130基、雨水調整池104箇所、農業集落排水施設1箇所、高度処理型浄化槽485基となっている。

 維持管理計画では、管路のうち合流、分流汚水の幹線、枝線、分流雨水の幹線は、経年変化を把握し、損傷が軽微な段階で補修・更新を行う「予防保全型」で対応し、分流の雨水枝線は、健全度が一定の水準に達した段階で行う「事後保全型」で補修・更新を行う。ポンプ場は、機械設備は予防保全で、電気設備は「時間管理」で見守りながら対応する。マンホールポンプ、高度処理型浄化槽、農業集落排水施設は事後保全型で対応を図る。

 今後は、27年度から管路、ポンプ場の点検・調査に入り、28年度からポンプ場の更新に着手し、30年度から管路の改築、修繕に取りかかる。対症療法的と比較し、50年間で約1、000億円の縮減が図られると見込んでいる。

 一方、地震対策では管路では、緊急輸送路等に埋設されている管や、防災拠点から排水を受けるなど「重要」と位置づける幹線718㎞のうち、約24㎞の(ボックスカルバート、馬蹄形管)について、耐震性能が不足している可能性があることから、耐震化を急ぐ。29年度までに管内調査及び詳細な耐震診断を行う。この他、重要な幹線のうち、緊急輸送路下に埋設されている13㎞の実施設計を29年度までに行い、30年度から耐震工事に取りかかる。緊急輸送路外の11キロについても30年度から34年度までに設計を実施し、39年度までに耐震を施す計画だ。

 中継ポンプ場は、今年度から耐震補強が完了した深堀、中和田を除いた当麻、中淵、古淵について建築物の耐震化を図り、27年度からは前記と久所の加えた4箇所の土木構造物の耐震を施していく。本郷ポンプ場はマンホールポンプに改築する。


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