国土交通省は25日に開いた社会資本整備審議会道路分科会の部会で、新たな国土構造を支える道路交通のあり方について審議した。来年夏のとりまとめを予定している。必要なネットワークの整備とあわせ、今ある道路をもっと賢く使うことで渋滞などの課題を効率的に克服する方向性を打ち出した。
道路を「賢く使う」具体案の一つが、ビッグデータを活用した交通工学の新体系確立となる。見た目の車線数ではなく、最大安定交通量(実際に流せる容量)を把握して不揃いを確認する。
例えば、渋滞要因の一つであるサグ部(勾配の変化部)だけ暫定3車線にするといった科学的なボトルネック対策を講じる。
3環状の概成を見据え、シームレスな料金体系の導入も検討する。これにより、料金体系の境目にある関所ともいえる料金所をなくしていく。
また既に整備されたITSスポットを活用し、経路情報を収集可能な新システム“ETC2.0”を導入することで、渋滞、事故時の一般道路への一時退出など高速道路を賢く使う利用者を優遇する。さらに“ETC2.0”レーンではゲートバーを設置せず、一定速度で通過できるようにする。
交通事故を減らすための取り組みでは、ビッグデータ分析により急ブレーキ多発箇所を特定し、原因を把握した上でそれぞれに交通安全対策を実施する。実例として、見通しを阻害していた植樹帯を剪定した結果、急ブレーキ回数が7割減った交差点があるという。
このほか無料の高速道路でも休憩施設を配備する。現状ではほとんど存在していないが、今後は国が計画を立てて設置する。駐車場、トイレを最低限の設備とし、地域が主体となって計画する道の駅の整備を認める。
25日の部会ではこのほか、首都高速道路の更新計画について、同社の菅原秀夫社長らが説明した。大規模更新は1号羽田線や都心環状線など計8㎞で、事業費(用地費含む)3775億円。大規模修繕は4号新宿線など計55Km、同2487億円を計画している。本年度から順次事業展開し、更新は約15年、修繕は約10年をかけて取り組む考えを示した。