国土交通省の北村知久(きたむら・ともひさ)建設業課長は11日に建設専門紙記者会の就任インタビューに応じ、改正品確法の運用指針について、策定過程で地方公共団体や業界と意思疎通を図ることが重要になるとの考えを強調した。また景気が上向いている今こそ、社会保険未加入対策や担い手の育成・確保に取り組むべきという見解を示した。
―建設業に対する現状認識と抱負は
北村 6月23日に就任して、その後すぐに、建設産業活性化会議の中間とりまとめがあった(26日)。その過程で色々な方のお話を伺ったが、皆さんが同様に言うのは、前任者の青木建設業課長の時は非常に業界が底の時期から始まり、二年間で劇的に変化してきた。景気が良くなってきたということが一番だが、建設産業も二年前は公共投資が底で、仕事自体がなかった。今は逆に仕事はあって人手が足りないという状態で、二年前と比べると、大きな変化がある。一方で仕事がある時にこそ、社会保険の問題など、業のあるべき姿について見直すべきところはやっていかなければならない。担い手の問題にしても、景気が悪くて会社自体の経営が厳しい時に言っても難しい。今、少し上向いてきた中で将来を見通して、やるべきことをやっていくことが非常に重要。
―改正品確法の運用指針について
北村 法律が国会で通り、その精神や制度を現場で根付かせていかなければならない。そのためには、国と地方公共団体と業界との意思疎通をしっかりと図らなければならない。改正法の説明会や発注者協議会などで意思疎通を始めているが、直接話をしながら、最終的には運用指針を定め、しっかりと根付かせることが大事。国が一方的に作ってこれでやってくださいと言っても、地方公共団体の発注で実際に使われなければ何の意味もない。国交省直轄工事で見本を示しつつも、運用指針を作る過程で、どういうことを書き込むと意味のある指針として使ってもらえるか、よく相談してやっていきたい。その過程では、業界の方からの要望も聞きながら進めていきたい。
―建設産業活性化会議の中間とりまとめで位置づけられた施策の具体化について
北村 一つひとつの施策について、行政でやることや民間に頑張ってもらうことなどを、工程表を作って明確化していく。作るまでに業界の方と議論をすること自体も重要だと考えている。
―重層下請構造の改善について
北村 個別工事には色々な事情があるかと思うので、一律に何次までということができるかと言えば、難しいところもあるかもしれない。一方で、無駄に何次にもなっているというのはなくしながら、合理的で、しっかりした業態の産業にしていかなければならない。
【略歴】
1987年東大法学部卒、建設省入省。日本高速道路保有・債務返済機構総務部総務課長、国交省土地政策課土地市場企画室長、内閣法制局第二部参事官などを歴任。山梨県出身、50歳。
【写真=品確法運用指針の策定に際しては地方との意思疎通が重要と話す北村知久建設業課長】