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国交省 池内幸司水管理・国土保全局長就任インタビュー

2014/09/16 本社配信

 国土交通省の池内幸司(いけうち・こうじ)水管理・国土保全局長は11日、建設専門紙記者会の就任インタビューに応じ、雨の降り方が激甚化している近年の気候変動を踏まえた治水対策について、「今までは(河川整備などの)計画を策定して、それに対して整備を進めてきた。それを超える大雨や高潮に対して、施設整備はどうなのかという検討を加えていく必要がある」との考えを明らかにした。

 広島の土砂災害については「全国共通する課題」ととらえており、土砂災害防止法の改正法案を喫緊の最重要課題として検討している。

 池内局長は「土砂災害防止法はソフトが中心の法律」と前置きした上で、「まず第一に、土砂災害の危険性のある区域を住民にできるだけ早期に明確に示すためにはどうしたら良いか。二点目は、市町村で避難勧告を適切に発令できるようにするにはどういったことが必要か。三点目は、避難勧告を出された場合、住民が適切に避難行動を取るようなソフト面での準備を進めていく。この三点が中心課題で、国会提出に向けて急ピッチで作業を進めている」と述べた。

 来年度予算編成に向けて重視している点については、「一点目として防災・減災対策。大規模地震や頻発、激甚化する水害、土砂災害に対して、ハード・ソフト一体となった予防的措置などを進めていく。二点目は戦略的な維持管理・更新。長寿命化計画を策定し、それに基づいて点検・診断、補修・更新、記録を着実に実施していく。更新の機会をとらえて施設の質的向上を図っていきたい。あわせて新技術の導入、人材育成についても検討していく。三点目は水辺の未来創造。水辺には、まちの価値を高めるための資源としての役割もある。にぎわい、美しい景観、豊かな自然環境を備えた水辺の再生・創出をやっていきたい」との考えを示している。

 放水路やダムなどの大規模事業に関しては「必要性を精査した上で、真に必要な事業については、整備効果の早期発現に向けて、計画的に実施していく」と話す。関連してダム事業の再検証では、「対象83事業のうち、67事業で対応方針を決定している。46事業が継続、21事業が廃止となっている。継続を決定したものについては、効果の早期発現を目指して、計画的に事業を進めていく。あわせてダム再生、既存ストックの有効活用も行っていく」と述べた。



写真=気候変動を踏まえた治水対策の検討が必要と話す池内幸司水管理・国土保全局長

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