改正品確法に基づく各種発注関係事務に関し、業界からは「国交省と同様の取り組みを地方公共団体にも浸透させてほしい」という声が多い。こうした中、自治体では活用されているものの、国交省では厳格に運用されている例外的な事項として、不落随契がある。
同省が7日に示した運用指針骨子案では「入札不調・不落時の見積徴収方式の活用等」の項目の中で、不落随契の活用検討を記述した。
具体的には、不落の発生時は見積徴収方式を活用するなどしてあらためて競争入札を実施することを基本とするが、「再度入札後でその実施が困難な場合には、談合防止や公正性の確保、発注者としての地位を不当に利用した受注者に不利な条件での契約の防止の観点に留意の上、随意契約の活用も検討する」と記載している。
同省では不落随契の運用について「厳正化」を図っているところだ。背景には過去の橋梁談合があり、2005年に打ち出した再発防止策の中でも「原則廃止」を掲げ、「真にやむを得ない措置」として取り扱っている。
ただまったく行われていないわけではなく、12年度は14件(8地整・港湾空港関係除く)が不調後、不落随契に移行している。
一方で地方自治体へのスタンスは異なる。直近では2月、総務省と連名で通知した「公共工事の円滑な施工確保について」の中で、「入札契約手続きの効率化」に資する取り組みとして不落随契を位置付けている。
これは、不落不調になって予定価格を組み直し再入札という手続きフローを繰り返すより、一番札の応札者と交渉し、予定価格の範囲内で合意、随契した方が早期執行できるという考え方に基づいている。
同省によると、運用指針で不落随契の活用検討が盛り込まれても、厳格運用の姿勢を変えることはないという。ただ現在でも、止むを得ない場合はできるというということになっており、すべて駄目ではないということは明確にする。