国土交通省の藤田耕三(ふじた・こうぞう)鉄道局長は22日、建設専門紙記者会の共同インタビューに応じ、「日々の運行の安全、防災対策での安全など、広い意味での安全をしっかり確保していきたい。また(7月に)就任以来、あらためて鉄道に対する期待が非常に大きいことを実感している。新幹線、都市鉄道、地域の鉄道と、分野を問わず非常に各地域で大きな期待をいただいている。そうした期待に少しでもこたえていけるように政策を進めていきたい。ただ、すべての期待におこたえできるわけではないので、鉄道行政としてビジョンを持って、優先順位をはっきりさせながら取り組んでいきたい」と語った。
国交省はJR東海に対し、リニア中央新幹線の工事実施計画を17日に認可した。同省として今後は「大臣から認可の際にJR東海へ伝えた三つの項目を強く求めていきたい。一つは地域の理解と協力を十分得るように努めること。二つ目は建設発生土など環境問題を懸念する声が特に沿線の自治体から出ているので、環境の保全にしっかり取り組んでいただきたい。三つ目には、難しい工事もあるので、安全かつ確実な施工をしていただきたい。我々も工事の途中段階で注視していく」と強調した。
またリニアを念頭に置いたまちづくり、駅を中心とした交通の構築などに関して「国交省全体としてしっかりバックアップしていく必要がある」と考えている。
具体的な考え方として、「リニアの高速性を生かした拠点づくりをするためにどういうまちづくりが必要か、面的な再開発などを含めて、地元でよく議論していただきたい。またリニアの駅を造るのに際し、ほかの交通との結節に配慮する必要がある。鉄道の乗り継ぎ、駅へのアクセスなどを含めて、地元でリニアを生かす取り組みを進めていただきたい。開業まで13年あるが、決して長い時間ではない」と語った。
施工を担う建設会社に期待する点としては「大深度地下など難しい工事があるので、日本の建設業の技術力を生かして、確実に施工していただくことを期待したい。またなるべく経済的、効率的に工事をしていただくことも、規模の大きな事業だけに必要」と述べた。
このほか鉄道施設全般のバリアフリーに関しては「これまで利用者の多いところは1ルートでもつくるというのが当面の課題だった。これからは駅の中に2ルート目を作ったり、近傍に病院があるところを重点的にやっていくなど、よりきめ細かい対策を含めて推進していく必要がある」との考えを明らかにした。
写真=「リニア開業までの13年は決して長い時間ではない」と語る藤田耕三鉄道局長