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茨城県古河市

古河市が指名競争入札拡大へ舵

2014/11/01 日本工業経済新聞(茨城版)

 今般施行された改正品確法では、法律の目的の一つとして「将来にわたる公共工事の品質確保、そしてその担い手の育成・確保」が追加された。地方分権の時代を迎え、地方自治体には、これまでの一般競争入札拡大という大きな流れにただ準拠するのではなく、地域の実情に合った入札制度の採用が求められている。

 古河市の入札制度の改正、とりわけ指名競争入札の拡大がこのところ顕著に進んでいる。

 これまで設計価格130万円以上の工事はすべて一般競争入札を実施していたが、昨年5月から予定価格1000万円以下の土木、建築、舗装、水道施設工事については指名競争入札に付することとなった。

 ことし5月からはさらに、前記のうち舗装工事と水道施設工事について、予定価格1000万円以下から3000万円以下に拡大された。

 そしてことし10月からは、設計価格130万円以上の工事に限り、指名業者の事前公表に踏み切っている。

 なお、合併前の旧総和町時代のものを参考にしたという指名業者一覧表には選定理由の項目があり、①信用度(営業停止・指名停止なし)②工事実績(市工事の検査成績良)③手持ち工事(施工能力の範囲内)④地理的条件(市内本社・営業所)⑤技術的保有状況(有資格者など)⑥技術的特性(同種工事実績など)-の6項目により選定していることが分かる。

 この一連の改正について契約検査課は、「市内中小企業の育成と契約手続きの簡素化を図るため」としている。

 談合防止のために一般競争入札を適用するのはよいが、過度に導入すれば利益度外視のダンピングが多発し、工事の品質低下を招く。結果として、企業ひいては地域の疲弊につながる恐れもある。

 また事務効率化に関しては、国交省の本年度入札契約執行通知では指名競争入札をその手法の一つとしている。

 入札制度に正解はないと言われる。終わりなき模索はこの先も続くであろう。ただ現下は、品確法により発注行政に産業政策の観点が盛り込まれたことを踏まえ、趣旨に沿った発注事務の遂行を期待したい。

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