市川市は、新庁舎の建設に向けて設計作業を進めているが、10月の市民説明会及び10月から11月にかけて実施したパブリックコメント等を経て、このほど基本設計を策定した。引き続き2015年度にかけて実施設計を進め、新第2庁舎は同年度内、新第1庁舎は17年度の着工を目指す。概算事業費は、建設工事費として222億円、備品や設備等の経費として14億円の合計245億円を見込む。
設計に関しては、プロポーザルで山下設計を選定。今年1月に契約を結び、基本設計を開始した。現在の本庁舎の位置に新第1庁舎、現在の南分庁舎(A・B棟)の位置に新第2庁舎を建設する計画で、15年度に分庁舎A・B棟を解体し、まず新第2庁舎を15~17年度で建設。その後、新第2庁舎を仮本庁舎として市民窓口等を移転。窓口移転後、17年度に現本庁舎の解体工事を行い、17~20年度で新第1庁舎を建設。新第1・第2庁舎として20年度の供用開始を目指す。
施設規模は、新第1庁舎がS一部RC・SRC造地下1階地上7階塔屋1階、延べ3万375㎡、新第2庁舎が地上5階塔屋1階、延べ1万1326㎡で、いずれも免震構造を採用。概算事業費は建設工事費222億円(新第1庁舎152億円、新第2庁舎52億円、設計・調査・解体工事等18億円)、別途費用14億円(備品及び設備等)の合計245億円を見込む。
なお、基本設計の概要は次の通り。
《新第1庁舎》
【全体コンセプト】
▽市川市の特徴的な景観と呼応する庁舎(「歴史的なもの」と「新しいもの」2つの価値が共生する庁舎)=特に北側の風致地区に配慮し、奥行きの深い平面が上層へ向かって後退する「ひな壇型庁舎」として、北側ファサードを斜面林のような緑にすることで、景観的、環境的にクロマツ市街地(風致地区)と連続する庁舎を計画する
▽利用しやすい庁舎=①両端コア・中通路型プランの採用(南北に執務エリアを配置し、その間に中通路、さらに中通路の両端にエレベーターや階段を配置した平面計画を基本とする)②市民が使いやすい窓口計画③合理的な駐車場計画
▽人にやさしい庁舎=①すべての人に配慮したユニバーサルデザイン②直観的でわかりやすいサイン計画
▽親しまれる庁舎=①市民・議会・行政のフラットの関係を醸成する協働テラス(ひな壇状に後退する北側面を利用した吹き抜け空間を市民活動支援スペースとすることで、上下階の連続による視覚的・動線的つながりを生み出し、セキュリティを設け夜間や休日にも市民に開放可能な計画とする)
▽機能的・効率的な庁舎=①業務効率を高めるオフィス計画(1階中通路は窓口全体が見渡せるゆとりある待ち合いスペース、2階中通路は行政イベントに利用できる多目的スペース、3階中通路は会議室や作業室など業務を行うための空間、4階以上は通路として活用する計画)②執務空間・駐車場の合理化と地下階の削減(柱スパンを適正化することで、自由度の高い執務空間と効率的な駐車場レイアウトを実現。基本構想で地下2層としていた駐車場を地下1層とすることでコスト削減と工期短縮を実現する計画とする)
▽安全・安心な庁舎=①あらゆる揺れに対応する免震構造の採用(積層ゴム支承、転がり支承、ダンパーの複数の装置を組み合わせた免震構造を採用する計画)②災害発生後も機能維持を図るバックアップシステム(7日間を目標に電気・水道・ガス・通信などのライフラインが維持できる計画とする)
▽環境にやさしい庁舎=①自然エネルギーを活用した環境配慮機能の採用(水の循環・炭素固定・蒸散効果などが1つのリングとなっている森の循環システムを参考に、北面に緑化ルーバー、南面にライトシェルフ、太陽光発電パネル、壁面緑化を設けることで、自然の採光・通風・エネルギーを有効に活用。また、コスト縮減と快適性を両立させた空調システムを導入することで、環境負荷を低減する計画とする)
【計画概要・施設構成】
▽敷地概要=八幡1-1-1、敷地面積7715㎡、商業地域、準防火地域、許容建ぺい率90%(指定建ぺい率80%+角地緩和10%)、許容容積率400%(指定容積率400%)
▽建築概要=S一部RC・SRC造(免震構造)地下1階地上7階塔屋1階、建築面積5680㎡、延べ3万375㎡(容積対象面積2万5073㎡)、駐車台数169台、駐輪台数205台。各階面積は地下1階5500㎡、1階4610㎡、2階4945㎡、3階4215㎡、4階3670㎡、5階3020㎡、6階2525㎡、7階1800㎡、PH90㎡
《新第2庁舎》
【全体コンセプト】
▽地域の公共施設とリンクした視認性の高い庁舎=煉瓦を使った特徴的なルーバーデザイン(煉瓦スクリーン)と壁面緑化を組み合わせることで、周辺環境に配慮しながら、視認性の高いデザインを実現
▽様々な状況に柔軟に対応できる可変型庁舎=新第2庁舎としての本来の用途のほか、仮本庁舎としての利用、将来的な人口減少や市民ニーズの多様化に対応可能な庁舎以外の公共施設に機能転換できる可変性を持った計画とする
▽利用しやすい庁舎=①片側コア・中通路型プランの採用(フロアの東西に執務エリアを配置し、その間を中通路、南側にエレベーターや階段を配置した平面計画を基本とする)②市民が使いやすい窓口計画③合理的な駐車場計画(柱スパンを適正化することで、1階にピロティ駐車場を確保し、仮本庁舎期間にはより多くの駐車場を確保できる計画とする)
▽人にやさしい庁舎=①すべての人に配慮したユニバーサルデザイン②直観的でわかりやすいサイン計画
▽親しまれる庁舎=①市民協働の場としても活用できる空間構成(階段・エレベーターホールと執務室の間にセキュリティラインを設けることで、ホール側の会議室等を夜間・休日などの協働事業などで活用できる計画とする)
▽機能的・効率的な庁舎=①業務効率を高めるオフィス計画②執務空間・駐車場の合理化と地下階の削減(柱スパンを適正化することで、自由度の高い執務空間と効率的な駐車場レイアウトを実現。基本構想で駐車場としていた地下1層を削減することで、コスト縮減と工期短縮を実現する計画とする)
▽安全・安心な庁舎=①あらゆる揺れに対応する免震構造の採用(積層ゴム支承、錫プラグ入り積層ゴム支承、転がり支承、ダンパーの複数の装置を組み合わせた免震構造を採用する計画)②災害発生後も機能維持を図るバックアップシステム(7日間を目標に電気・水道・ガス・通信などのライフラインが維持できる計画とする)
▽環境にやさしい庁舎=①自然エネルギーの積極的な活用(南面の太陽光パネル、東西面の煉瓦スクリーン・緑化ウォールにより、自然の採光・通風・エネルギーを有効活用する)
【計画概要・施設構成】
▽敷地概要=南八幡2-18-9、敷地面積4522㎡、第1種住居地域、許容建ぺい率60%(指定建ぺい率60%)、許容容積率200%(指定容積率200%)
▽建築概要=S一部RC造地上5階塔屋1階、建築面積2635㎡、延べ1万1326㎡(容積対象8950㎡)、駐車台数74台、駐輪台数112台。各階面積は1階2635㎡、2階2400㎡、3階2270㎡、4階2270㎡、5階1655㎡、PH96㎡。