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県・技士会が工事諸課題について意見交換

2015/02/06 長野建設新聞

 長野県と長野県土木施工管理技士会(牛越恵司会長)は4日、県発注公共工事の諸課題について意見交換会を行った。会は技士会からの提案議題23項目について県側が回答。また7項目について要望も出された。設計図書の内容・精度については、説明書に明記されている支障物の移転が大幅に遅れるケースを技士会が指摘。県は発注前移転に努めているが、未完了の場合は早期に対応すると回答。工事中止・工事延長に伴う費用負担の指摘については、県は発注者と協議してほしいと述べた。

 会の冒頭、牛越会長は「意見交換会における技術者からの意見に対して、ぜひ県として良い対応をしてほしい」とあいさつ。県建設部技術管理室の丸山義廣室長は「意見交換会が、建設工事の品質確保や施工効率化につながることを期待している」と述べた。


 長野県と長野県土木施工管理技士会による意見交換会の主な議題と県側回答は次の通り。


◆設計図書の内容・精度について

【技士会】日当り作業量の補正をしてもらえない。(昨年度に続く再提案)

【県】県が準拠する国の標準歩掛と積算基準が変更していないため、昨年と状況は変わらない。工事一時中止の場合は費用負担は県にある。工期延長の場合の経費は一定程度加算できる。どのように費用がかかるか個別具体的に協議してほしい。


【技士会】追加調査や設計変更、仮設工追加などが必要になるケースが減らず、受注者が自費負担で行っている。費用は技術管理費ではなく業務委託費として計上としてほしい。

【県】今の積算では差額が出るということ、工程に影響することなど問題があることを認識している。設計内容については審査体制の見直しも含めて不具合がないよう努める。


【技士会】舗装面積の出し方、縦断、横断ともに水平距離が基準だが、勾配のきつい所では数量は斜長ではないのか。

【県】縦断勾配のある場合は、水平方向に換算することになっている。


【技士会】受注後、支障物移転が遅れるケースがある。また基本測量と現地測量が違う場合がある。設計コンサルタントと現地で整合を図ってほしい。

【県】支障物移転は発注前に完了するよう努めている。未完了の場合は早めに対応したい。測量については、ルールでは発注者が現地確認など必要な対応をとる。場合によっては設計変更もあり得る。そもそもこういう事態が生じないよう十分にチェックしたい。


◆自ら積算について

【技士会】質問を初日に出しても回答が最終日。回答もあいまいで再質問が出せない。ワンデーレスポンスを希望する。また産廃処理について、設計では運搬費や処理費が総合的に単価の安い個所を採用しているが、地元処理業者の採用をお願いしたい。

【県】質問に対する回答については、内容をしっかり把握して、期限内に明確に答えたい。産廃については、地域によって実情が異なる。県としては確実に処理が行われることが重要。実態を把握して今後の検討課題としたい。


◆技術者制度について

【技士会】橋梁・トンネルの維持管理や災害復旧の工事では、国も導入に取り組んでいるCM方式に準じた現技術員の配置を検討してほしい。

【県】直近2カ年におけるCM方式の実績は2件で、普及が進んでいない。国や他県の事例を研究したい。


◆支障物件について

【技士会】地下埋設物の試掘は共通仮設費の率計上に含まれるが、多数の占用物を含む用排水や水道管、通信ケーブルが埋設されている状況では、試掘費用が多額になる。変更協議対象にしてほしい。

【県】あらかじめ現場を把握して発注しているが、あいまい・不明な部分はある。試掘が必要になった時は、共通仮設費に積み上げることになる。現地機関で対応が違う場合もあり、徹底したい。


【技士会】着工後に残物が確認された場合は、工事発注者が責任を持って残物処理をしてほしい。

【県】支障物は発注前移転を完了しているが、やむを得ず未完了の場合は特記事項に明示する。状況によっては工事の中で撤去をお願いする場合もある。


◆工事中止・工事延長について

【技士会】工事一時中止命令が出た場合、現場代理人や主任技術者は他の現場に選任しても良いが、中止命令解除の際に同一の者を選任しなければならないため、他の現場の手伝いをするのが現状。解除の場合に、同等な資格技術者に変更できるようにしてほしい。

【県】施工管理の継続性を考えると、できれば同じ体制が良いが、配置技術者の変更はできる。発注機関に周知したい。


【技士会】工事が着工できず工期が延長される際に、延長工期分の経費が計上されない。明らかにマイナスとなる。

【県】工事中止の場合、中止間の費用を計上できる。受注者からの請求で対応が始まるので、まずは請求してほしい。延長・条件変更の場合は、経費増を発注者が協議して対応を決める。特別に決まっているのではなく、現場の状況に応じて流れの中で費用請求することになるので、発注者と協議してほしい。

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