日本建設業連合会(日建連)は本年度から、けんせつ小町委員会を立ち上げた。これまで労働委員会で議論してきた女性活躍の課題に対して、より専門的な議論ができるよう独立した委員会とした。女性の視点を入れるため、委員40人のうち女性委員が15人を占める。同委員会の委員長を務める則久芳行氏(三井住友建設会長)に、建設業における女性活躍推進の必要性や課題などを聞いた。
―建設業における女性の必要性は
則久 4点あり、1つには人材不足対策そのもの、さらに男性を含めた入職と定着の促進、多様性の推進、イメージアップ―がある。日建連がまとめた建設業の長期ビジョンでは、10年後までに90万人の新規雇用を確保することを目標にしているが、生産年齢人口減少の中で高い目標になっている。産業間での人材獲得競争も激化している。将来の担い手確保のために、女性の積極的な雇用が必要だ。
さらに女性が働きやすい職場は、結局は男性も含めて若年層が働きやすいものになる。今は建設産業再生の絶好の機会。女性が普通に活躍できる産業にしたい。
また、女性が建設業に入ってくることでの変革にも期待できるし、建設業自身のイメージアップになる。
以上の4点にプラスして、女性活躍推進を図ることで、各企業内が活性化するというメリットもあると思う。女性はまじめで仕事ができる人が多い。男性社員にとっても刺激になる。
―重点課題は
則久 まずはアピール。積極的な情報発信が必要だ。建設業が女性活躍に取り組んでいることはまだあまり知られていない。歓迎していることをアピールする。もう1点は、現場のトイレや休憩所などの環境整備も必要。さらに一番重要な点は、女性ならではのニーズの開拓。女性目線で、例えばリニューアル工事などの施工を積極的にやり始めると、ニーズが出てくるのではないか。特に建築物などは女性目線が入った方がいいものができると思う。
―今後の進め方は
則久 けんせつ小町委員会は、技術者と技能者それぞれを検討する専門部会を2つ設置する。技術者については我々の問題で、積極的に取り組んでいくが、技能者については協力会社の課題になってくる。雇用育成を積極的に支援していくが、建専連(建設産業専門団体連合会)などとも話し合いをしながら、連携してやっていきたいと思う。女性活躍推進を1次的なブームで終わらせてはいけない。長期的な取り組みにしなければ。そのためにも業界全体が一丸となって取り組んでいけるように考えていきたい。