16日に行なわれた長野県契約審議会で、少し複雑な取り組みが了承されたので、整理したい。取り組み内容は『実績のない若手技術者を主任技術者として配置した場合、現場代理人の持つ実績(工事成績、優良表彰)で評価する』というもの。
総合評価落札方式では、主任技術者の実績を評価する。このため入札参加企業は、加点につながらない若手技術者を主任技術者として配置することが難しくなる。当然ながら若手技術者は実績を積むチャンスがなくなってしまう。新たな取り組みは、若手が活躍する場を確保するために行なうものだ。
取り組みでは、総合評価落札方式の入札において、実績のない40歳未満の若手技術者を主任技術者として配置する際、同時に配置する現場代理人の工事成績や優良表彰を若手主任技術者の実績として評価する。これにより、若手技術者を主任技術者として配置する際でも落札の可能性が出てくる。
県契約審議会では、委員から「『若手』というのは誰でも良いということになる」と懸念を示す声もあった。しかし県建設部技術管理室では、資格を有する『技術者』の配置(工事規模により1級・2級の区分け有り)であるため、一定の品質確保を得られると見ている。
さらに工事完了時には、若手技術者と現場代理人の双方に工事成績が付与され、実績としてカウントされる。これは、次の総合評価落札方式の評価で加点されることになる。
建設業界では現在、若手入職者の減少で技術者の高齢化が進んでいることが問題視され、若手技術者の確保・育成は業界全体の課題となっている。
県は取り組みにより、経験豊富な現場代理人が若手技術者を指導することで、技術の継承を期待している。
取り組みは、本年10月1日以降の公告案件、総合評価落札方式すべてにおいて実施される。