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(財)建設業振興基金

内田俊一理事長 「業界に必要な専門家集団へ」

2015/07/16 本社配信

 建設産業の振興につながる事業活動を展開する建設業振興基金(東京都港区)は、今月16日で創立40周年を迎える。内田俊一理事長に今後の振興基金の方向性について考えを聞いた。

 内田理事長は「建設業界は歯止めのない過当競争が進み、建設業経営は非常事態を迎えたのがこの10年だったと思う」と振り返りながら、「(国は)この異常な事態に今までにない発想で政策を打ち、それを振興基金が担いながらやってきたと思っている」と話す。

 今後に関しては「これからの10年はいろいろなことが起こると思うが、はっきりしているのは労働市場で企業や産業が淘汰される時代が来る。これを勝ち抜かなければならないことが建設業界の当面の課題だとすると、振興基金もまずはそこを支えていく。具体的には担い手を確保して、しっかりと育てるという仕組みを持った産業にいち早くなるということ。新しい10年を出発する上で、担い手確保育成コンソーシアム事業と、厚生労働省から受託した建設労働者緊急育成支援事業の二つが当面の大きな事業になる」との考えを示す。

 激動の10年が始まるとする内田理事長は「建設業がどのような問題に直面するかは分からないが、どんな事態でもしっかりとお役に立てる振興基金でなければいけない。そのためにはニーズに対する感度を高めていくこと。どんな問題が起きても建設産業の問題であれば対応できる、応援できる専門家にならなければいけない」と力を込める。

 ただ内田理事長はこれからの10年が楽しみだと言う。「40代の社員が力を付けており、この層がこれからの振興基金を支えていく。激動の10年でも、しっかりとやっていけるのではないか」と自信をみせる。

 40周年に当たり初めて経営理念を掲げた。内田理事長は「『建設産業の振興を唯一の目的とする法人』という誇りを持つ、我々の思いを経営理念にあえて書かせてもらった。また、『産業と行政をつなぐ架け橋』という言葉も入れた。行政の思いや方針をしっかりと伝え、産業界の思いやニーズを行政に反映させる役割も果たしたい」と抱負を語る。

 「建設業界にとってなくてはならない専門家集団になりたい」との決意を示す内田理事長の手腕が今後も期待される。


【写真=「激動の10年」に向けた抱負を語る内田理事長】

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