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茨城県水戸市

水戸市が大手門二の丸角櫓など復元に12億円/水戸城跡周辺整備で

2015/11/17 日本工業経済新聞(茨城版)

 水戸市歴史文化財課は、水戸城跡の大手門や二の丸角櫓、土塀の復元に向け、このほど整備基本計画をまとめた。概算事業費は約12億円を想定し、茨城国体開催の2019年までの完成を目指す。順調ならば年度内に大手門の実施設計に着手。来年度は角櫓と土塀の実施設計、用地測量などを進め、17~19年度の3カ年で工事を実施する。関連して駐車場やトイレ、売店などの整備も検討している。

 水戸城跡周辺地区は豊かな歴史的資源が現存し、中心市街地のにぎわいを創出する上でも重要な地区となっている。

 基本計画の基本理念は「水戸の顔にふさわしい 天下の魁の精神を受け継ぐ歴史・文化交流拠点の形成」とし、市民や観光客が水戸城跡の魅力を最大限に味わい、集い、交流することができる地区として歴史まちづくりを進める。

 このうち大手門は、水戸城跡への導入部として重要なランドマークとなるため、遺構を保護しながら在来工法で復元整備を進めていく。規模はW造2階建て延べ床面積142・15㎡、棟高14・15m。2階部分へ上がることができるようにし、展示スペースも設ける。

 二の丸角櫓については、水戸駅北口ペデストリアンデッキから眺望できるようにする。10・11年度に実施した発掘調査で規模と位置が判明していることから、これに基づき在来工法で復元整備を推進する。規模はW造2階建て延べ床面積95・02㎡、棟高10・5m。大手門と同じく内部に展示スペースを設置する。

 大手門と二の丸角櫓の間の土塀は、総延長600m、棟高1・8mでRC造を想定。また、二の丸角櫓にアプローチするため、茨城大学教育学部附属小学校と県立水戸第三高等学校の間に延長600m程度の動線を設定。景観に配慮した外構施設を設置する。

 概算事業費の内訳は、大手門4億1000万円、二の丸角櫓2億8000万円、土塀2億3000万円、アプローチ1億3000万円、用地測量等1億5000万円。

 このほか、弘道館東側の国有地などを買収し、駐車場やトイレなどの休憩所の設置も検討する。既存の案内・解説板の更新や外国語の案内・解説板の新規設置も行う。

 車両動線については、大手門の前後を車両通行止め(自転車と緊急車両を除く)とし、弘道館東側などを走る上市6号線の全線対面通行化の検討も進める。

 現在は文化財建造物保存技術協会(東京都荒川区)で基本設計を策定中。順調ならば年度内に大手門の実施設計に着手し、来年度は角櫓と土塀の実施設計、用地測量、用地取得を進める。工事は17年度から3カ年で実施。新たな市の魅力として全国に情報発信するため、19年に開催する国体までの完成を目指していく。

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