中野市が公共施設等総合管理計画案をまとめた。計画期間は2016年度から10年間。市が保有する公共施設および公共インフラを対象として、長寿命化や耐震化、統廃合、廃止・撤去などの方針を示している。
計画案によると、現在保有する公共施設等を将来も同規模で更新する場合の必要コストは40年間で2204億円。年平均55億円となり、過去5年間の投資的経費の年平均額と比較すると3.2倍に相当する。一方で人口減少などによる税収減や扶助費増加が予想されるため、公共施設等の維持に充当する財源確保が厳しいと見込まれる。このため効率的・効果的な管理が必要となっている。
管理の基本的な考え方としては「長寿命化」「耐震化」「総資産量の適正化」などがある。
「長寿命化」については、定期的に点検・診断を実施。事故の危険性が高い箇所については、活用見込みのない施設を除いて速やかに応急処置・修繕を行う。維持管理ではメンテナンスサイクルを構築する管理基準を設定する。「耐震化」は、これまでと同様に優先順位を設定して計画的に耐震化を進める。「総資産量の適正化」については、統廃合や機能転換・用途変更、複合化・集約化を実施する。このほかPFIなど民間活力の活用も検討する。
また一人当たりの公共施設延床面積が多いことも負担となるため、施設縮減を実施する。対策としては▽施設新設の場合は既存建物・用地を利活用する。新たな建設・用地取得は行わない▽既存施設を更新する場合は複合化・併設を検討▽施設の廃止・撤去する前に後利用を検討▽更新・大規模改修は国・県支出金や交付税措置の市債を活用‐などを掲げている。
施設類型ごとの方針は次の通り。
◆学校教育系施設=校舎等は計画的改修。余裕教室は児童クラブと複合化。学校給食センターは施設集約化。
◆市民文科系施設=公民館は複合化や効果的運営を検討。市民会館建設の際は適切な施設規模とする。
◆社会教育系施設=図書館は複合化・民間活力の活用も含めて運営。博物館は機能・役割分担を見直し。
◆スポーツ・レクリエーション系施設=用途重複・利用者数減少の施設は廃止を検討。
◆産業振興施設=市が保有する必要性や利用者数が低下した施設は、管理方法見直しや廃止を検討。
◆子育て支援施設=旧みよし保育園は利活用を検討。幼児・児童施設は既存施設を活用した複合化。
◆保健・福祉施設=利用者数減少施設は用途変更・集約化。老朽化施設は統廃合を検討。
◆行政系施設=本庁舎は現地建て替え。支所は空きスペース活用。消防施設は統廃合。
◆市営住宅=耐震性がなく老朽化した施設用途廃止・建て替えを検討。
◆公園=管理運営経費を縮減。施設や遊具は長寿命化計画に基づいて改修。
◆その他施設=未利用施設および未利用地は利活用、譲渡・除却を検討。
◆インフラ施設=改良・新設は補助金など特定財源が確保できるものに限る。下水道処理場は統廃合を検討。