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建設業労働災害防止協会千葉県支部

万全の心構えで成果を/建災防かずさ分会が説明会/第89回全国安全週間準備期間

2016/06/22 日刊建設タイムズ

 建災防かずさ分会(松本信夫分会長)は16日、木更津市内のかずさ建設会館において「2016年度全国安全週間実施要領説明会」を開き、会員50人余が出席。木更津労働基準監督署の花坂泰秀署長からのあいさつをはじめ、同署安全衛生課の鈴木毅課長による「感電災害の防止について」の講話、加藤護・安全専門官の「全国安全週間実施要綱説明及び労働災害の発生状況等」の説明で構成した。全国安全週間は「人命尊重」を基本理念として1928年から実施され、一度も中断することなく今回で89回目を数える。本年度のスローガンは『見えますか? あなたのまわりの 見えない危険 みんなで見つける 安全管理』。6月1日から30日までを準備期間とし、7月1日から7日までを本週間として展開する。


 ◆7月1日からの本週間へ


 説明会に先立ち、主催者を代表して松本分会長は、昨年の7月1日以来、かずさ建設会館において『かずさ分会』がスタートしたことに言及。「かつては君津郡市分会だったが、諸先輩方が将来を鑑みて、4市合併の礎になるように『かずさ』の名称を用いた。それにより、この会館にはかずさ分会の会員233社をはじめ、4市の建設業に関わる多くの人たちが集まるようになったと自負している」と述べたうえで「今あるものを生かしながら、この建設会館からこの地域の建設関係がみんなで手を携え、重篤な災害を撲滅していく。それこそが業界の健やかな成長とともに、ささやかな幸せも掴むことが出来る」との考えを示した。


 ◆業種の枠を超え会館の利活用を


 「本日は貴重な講演を聴く良い機会でもある」とした氏は「その内容を各自の会社に持ち帰り、どこまで流布できるかに尽きる」と述べ「足場をはじめとする業法も、多岐にわたり改正している。そういった意味で、やはり情報を早めに収集し、それを生かしながら取り組んで頂きたい」と要請。昨年もこの会館で数多くの講習会が開かれたことには「今後も業種の枠を超えて、改めてこの会館を利活用して頂きたい」と呼びかけた。


 ◆非会員から3件


 一方、県内建設業における今年の死亡災害が、これまでに5件発生したことに言及した氏は「残念ながらそのうちの3件が、このかずさエリアから発生。いずれも建災防に入会していない非会員の方々によるものである」と報告。「これまでも会員による重篤な災害は比較的に少ない。非会員の方々に、どれだけ事の重大さを感じ入って頂けるかだと思う」との問題を提起した。

 さらに「『やむを得ない死亡事故』などはない」と強調した氏は「ちょっとした油断や思い込みも含めて『何故それがわからなかったのか』ということが、重篤な災害に結び付いてしまう。この機会に安全に関する知識を一つでも多く持ち帰り、無災害の達成に役立てて頂きたい」と述べ、あいさつを結んだ。


 ◆防止の努力をすれば減らすこと出来る


 引き続き、木更津労働基準監督署の花坂泰秀署長が、昨年の全国における死亡労働災害が972件だったことについて「1961年のピーク時には6712人の方が命を亡くされたが、50有余年を経て、ようやく1000件を下回るまで減少してきた」とし、そのうち建設業においても「この50年の間に色々な技術革新や作業方法、建設現場での工法の改善など、色々な努力の積み重ねがあり、61年のピーク時には全国で2652人の方が亡くなったのに対し、昨年1年間では8分の1の327人まで減少した」と報告。このことについて花坂署長は「これは明らかに、労働災害というのは『防止の努力をすれば、減らすことが出来る』ということを示したもの」と評価。

 しかし、一方では「8分の1まで減らしたといって喜んでいる場合ではなく、限りなくゼロに近づけ、必ず達成しなければならないことだと思う」と言明。「みなさんが各自の会社に戻られ、これまでの事業所における安全活動の歴史を振り返りつつ、これから将来に向かって、どのような現場管理、安全管理が必要なのかを社内で話し合い、それぞれのゼロ災害を目指してほしい」と要請。さらに「本日私どもの職員が話をさせて頂く内容を1つでも2つでも持ち帰り、安全水準の向上と現場の安全管理に繋げてもらいたい」と呼びかけ、あいさつに代えた。

              ◇

 全国の建設業における2015年の労働災害による死亡者数は327人で、過去最少だった13年の342人をさらに下回った。しかし、建設業及び建設現場に付随して行う警備業を合わせた昨年の「熱中症」による死亡者数は18人で、全産業に占める割合は62・1%と高い。これから夏にかけては「高温多湿」という厳しい作業環境下にあり、熱中症の多発や集中力の低下で労働災害が起こりやすくなる。全国安全週間を機に、安全衛生活動のさらなる積極的な展開が期待されている。

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