7月1日からの『全国安全週間』に先立ち、建災防千葉分会(伊藤靖雄分会長)は24日、千葉市内の三井ガーデンホテル千葉で「第45回安全大会」を開き、約300人が参加した。千葉労働基準監督署の西岡正純署長らの来賓祝辞、年間無災害及び工事無災害などの各種表彰に加え、誰もが健康に安心して働くことが出来る職場環境づくりに邁進することを誓う「大会宣言」を採択。さらに、東邦大学名誉教授の有田秀穂氏を講師に招き「メンタルヘルス対策であなたも会社も元気になろう」をテーマとする特別講演も行った。
◆年間無災害など表彰
開会に先立ち、主催者を代表して伊藤分会長は、建設業の労働災害について「依然として全産業の中で高い比率を占めている」と指摘。昨年の千葉労働基準監督署管内の死亡災害件数が減少したことについては「会員事業場の努力の賜物である」と称賛した。
「今回の安全大会では、いつもと違った話をする」と前置きした氏は「先週、バルセロナ五輪柔道金メダリストの古賀稔彦さんによる『夢の実現』をテーマとする講演を聴く機会があった」ことを紹介。その講演の冒頭に『皆さんの夢は?』と問われたが「子どもの頃はさまざまな夢を抱いていたが、大人になると夢を見るよりも現実を見ることが多くなり、『今の夢は何か』と自問自答してもすぐに浮かばなかった」と反省。古賀氏の講演から「夢を持てば労働災害も無くなるのではないかという考えを持った」と述べた伊藤分会長は、「一人ひとりが夢を持って仕事に取り組み、夢を実現させるために事故を起こさないようにすることで、自然と安全意識が高まり、労働災害が無くなると確信している」と力強く訴えた。
◆安全活動のあり方を見直す
今月の準備期間に引き続き、7月1日から始まる全国安全週間については「人命尊重の基本理念のもと、産業界における自主的な労働災害防止活動を推進するとともに、安全意識の向上と安全活動の定着を図ることを目的としている」と説明。今回のスローガンに言及して「安全衛生教育の徹底で労働災害撲滅に取り組むとともに、改めて日頃の安全衛生活動のあり方を見直してほしい」と要請。さらに「すでに全国で5195人が熱中症で緊急搬送され、このうち2人が亡くなっている」と報告するとともに、注意を呼びかけてあいさつを結んだ。
◆建設業の死亡災害減/災害防止対策の定着
引き続き、千葉労基署の西岡署長は、昨年の全国の死亡災害発生件数について「1000件を下回り、前年比8・7%減少の965件となった」と報告。減少の大きな要因として「建設業の死亡災害が減った」と述べ、その理由について「建設業はリスクアセスメントが一番定着しているからである」と説明した。
一方、休業災害の大幅な減少がない大きな原因として「労働者の高齢化が考えられる」と指摘し、「高齢者は比較的怪我が多いということで、転倒防止などの取り組みを進めている」と強調した。千葉労働基準監督署管内(全産業)では、すでに4件の死亡事故が発生していることから「これ以上事故が発生しないよう、自主的な安全活動を意識してほしい」と注意を呼びかけた。
◆大会宣言
私たち会員一同は、全ての労働災害を撲滅するため、日々安全衛生管理に取り組んでいる。
昨年は労働災害が減少したが、残念ながら本年は現在のところ、休業4日以上災害は昨年同期で増加傾向となっている。目指すべきは死亡災害”ゼロ”。全国安全週間を前に「人命尊重」という崇高な基本理念の下、引き続き安全衛生活動をさらに積極的に展開し、労働災害撲滅へのさらなる取り組みを行う。
本大会を契機とし、会員事業場だけでなく、下請業者や一人親方まで、作業を行う一人ひとりに対してこのような現状を共有し、本年度の安全週間スローガンである『見えますか? あなたのまわりの見えない危険 みんなで見つける 安全管理』のもとに、安全意識の高揚と安全活動の定着を図り、誰もが健康に、安心して働くことができる快適な職場環境づくりにまい進することをここに誓う。
2016年6月24日
建設業労働災害防止協会 千葉県支部千葉分会 第45回安全大会
◆2016年度安全大会表彰
〈事業場賞〉
○年間無災害賞
▽㈱大幹
▽戸田建設㈱
▽㈱マルコウ中村組
○工事無災害賞
▽山内工業㈱=防災・安全交付金(災害防除)工事(万田野)
▽㈱大幹=幕張町弁天町線舗装改良工事(稲27―2)
▽新日本建設㈱=(仮称)京葉銀行都賀支店増築改修工事
▽㈱マルコウ中村組=市原市五井消防署庁舎耐震補強工事(建築)
▽㈱笹原工務店=市立石塚小学校校舎耐震補強工事
〈個人賞〉
▽齋藤健二(㈱清水土木)
▽日下 滋(㈱昭永電設)
▽日髙雅史(芝工業㈱)
▽飯塚真澄(若築建設㈱)
▽赤坂 孝(㈱大幹)
▽宮崎伸一(㈱笹原工務店)
▽佐藤勇一(㈱マルコウ中村組)
▽中村敏雄(㈱昇和産業)