水戸市の本年度第2回都市計画審議会(会長・川島宏一筑波大学大学院システム情報工学系教授)が4日に開かれ、泉町1丁目北地区市街地再開発事業に関する諮問3件を審議し、いずれも賛成多数で原案どおり可決した。今後は7月下旬の決定告示後、新市民会館の設計を施行者の泉町1丁目北地区市街地再開発準備組合(宇野光一理事長)へ推薦し、年度内の組合設立を目指していく。
この日、審議したのは、①泉町1丁目北地区第一種市街地再開発事業②泉町北地区地区計画③都市計画道路7・6・12(仮称)市民会館通り線の変更―の3件。同地区は、隣接する京成百貨店や水戸芸術館と一体となり、新たな交流や活力、にぎわいが創出されるコンベンションの拠点、歴史的・文化的資源との相乗効果を高め、まちの活性化に資する拠点となることを目指している。
①は、施行区域約1・4haに新市民会館(概算事業費約192億円)を中心とした施設を整備するもの。設計は㈱伊東豊雄建築設計事務所(東京都渋谷区)と㈱横須賀満夫建築設計事務所(水戸市)を公募型プロポーザルで選定しており、順調ならば決定告示後の7月下旬~8月にも同組合へ推薦する。
新市民会館の規模はRC・S・W造4階建て、延べ約2万1800㎡(建築面積約6600㎡)。建ぺい率約80%、容積率約243%、建築敷地面積約8300㎡。
大ホールは2000席、500席の多機能ホールや大会議室、展示スタジオなどを備える。商業施設(合計1000㎡)は1階部分の国道50号側と西側に配置。
敷地中央に大劇場を配置し、やぐら状の木組みが建物をつつむとともに、市民活動を支える大きな公共空間「やぐら広場」を実現する。やぐら広場は水戸芸術館の広場に向けて開かれ、国道50号とつなぐような形でL字型に設ける。自然環境に配慮したイメージを演出し、力強さと温かみを持つ水戸藩城下町にふさわしいものとなっている。
大ホールはさまざまな舞台形式の利用が想定され、商業施設や会議室、スタジオなど常時使用される区間が国道50号側の商店街に対してまちの顔をつくり、人のにぎわいが溢れ出すように計画。地下には機械室や駐車スペース(1500㎡)を配置。屋上には太陽光パネルや太陽熱温水パネルを設置し、非常時の自立電源としても活用する。
②では、建築物等に関する事項として風営法に係る用途(キャバレー、ナイトクラブ)のほか、マージャン店やパチンコ店などの用途を制限する。さらに、壁面の位置の制限として、道路境界線から建築物の外壁またはこれに代わる柱の面までの距離2m以上を設定(建築物の地表面からの高さが3m以上の部分等を除く)。
③は、敷地の北側(幹線市道4号線)と東側(上市192号線)を走る道路を都市計画道路7・6・12市民会館通り線(L約200m、W10m、1車線)とするもの。周辺施設との回遊性の向上や安全性の確保を図るとともに、同地区と水戸芸術館の間に位置する部分については、地区のにぎわい創出に寄与するコミュニティー道路として整備し、広場や施設と一体となった歩行空間の演出を図る。なお、南側の都市計画道路3・5・7水戸駅赤塚線(W27m)は整備済みで、西側の都市計画道路7・5・9芸術館西通り線(L約130m、W17m)は拡幅整備する。
今後は年度に組合設立の事業認可、2017年度に権利変換計画認可、18年度から3カ年で解体工事や施設建築物工事を進め、20年度内のオープンを目指していく。
審議後、川島会長から答申を受けた高橋靖市長は「貴重なご意見を今後のまちづくりに反映してまいりたい。賛否両論あるが、きちんと説明責任を果たしていく」と述べた。当日は多数の傍聴人が駆けつけるなど市民の関心の高さが伺えた。
【図=新市民会館南立面イメージ】