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茨城県土浦土木事務所

県管理河川減災対策協議会の土浦ブロック

2017/02/03 日本工業経済新聞(茨城版)

 県管理河川の減災に向けた取り組みを推進するための減災対策協議会の県南(土浦)ブロックが1月31日、土浦市の県土浦土木事務所で開催された。土浦市、石岡市、つくば市、筑西市、かすみがうら市、桜川市、つくばみらい市の首長や気象庁、県土木部、県防災・危機管理課のほか、オブザーバーとして国土交通省と水資源機構が出席。「水防災意識社会再構築ビジョンに基づく取り組み」「現状の減災に係る主な取り組み状況」「今後の進め方」について協議した。次回は夏にも開催し、年内には本年度から5年間の取り組み方針を策定する予定。

 冒頭、県土木部の澤田勝部長は、国交省直轄の河川だけでなく、都道府県の管理河川についても減災の取り組みを推進する方針が示されたことを伝え、「本県を6ブロックに分けて協議会を設置することとなった。きょうは第1弾として、県内最大の県管理河川で県唯一の洪水予報河川となっている桜川を中心とした土浦ブロックを開催し、減災の目標達成のために実施すべき取り組みを検討していただく」とあいさつ。

 議事ではまず協議会設置の趣旨と規約について審議。原案どおり可決し、県土木部土浦土木事務所の伊藤敦史所長を議長に選出した。趣旨として、河川管理者、市町村などが連携・協力してハード対策とソフト対策を一体的、計画的に推進することにより、大規模氾濫が発生することを前提として社会全体で常に洪水に備える「水防災意識社会」を再構築することを確認した。

 続いて、現在国交省が推進する「水防災意識社会再構築ビジョン」に基づく県内の取り組みを同事務所の河川整備課が説明。ハード対策として2020年度をめどに、8河川約110㎞で堤防のかさ上げや浸透対策を、6河川約81㎞で堤防天端の保護や裏法尻の補強を実施していることなどが報告された。

 現状の減災に向けた取り組みでは、ブロック内の国交付金によるハード対策として、桜川の土浦工区(L10㎞、概成)、筑波工区(L15・5㎞、樹木伐採、河道掘削)、真壁工区(L11・75㎞、水衝部護岸、河道掘削)、大和工区(L4・75㎞、休止中)などが紹介された。

 協議会の今後の進め方では、5年間で達成すべき目標として「桜川(土浦)をはじめとする県管理河川の大規模水害に対し、『逃げ遅れによる人的被害をなくすこと』『地域社会機能の継続性を確保すること』を目指す」を掲げ、①関係機関が連携したハード・ソフト対策の一体的・計画的な推進②水害リスク情報等の共有による確実な避難の確保③河川管理施設の効果の確実な発現④適切な土地利用の促進⑤重点化・効率化による治水対策の促進⑥災害復旧、水防活動等に対する地方公共団体への支援-を取り組み方針(17~21年度の5カ年計画)の検討項目とした。スケジュールも示され、夏ごろに第2回協議会を開き、目標と取り組み方針について協議し、年内には方針を策定させる見通し。

 その後の意見交換では、つくばみらい市の片庭正雄市長が「遊水地から河川までの浚渫をしっかりしないといけない」と訴えたほか、スーパー堤防について「あまり聞かなくなったが、どうなっているのか」と質問。これに対し、澤田土木部長は「利根川上流できちんと位置付けはされているが、用地が莫大で時間がかかる」と答えた。

 石岡市の今泉文彦市長は「『川との共生』という意識が市民に育まれていくことが肝心。情報と意識の共有がポイントとなる」と主張。桜川市の大塚秀喜市長は、「桜川の改修は市の防災政策の一丁目一番地」とさらなる整備促進を求めた。

 桜川の最下流に位置する土浦市の中川清市長は「浚渫をできるところから進めていただきたい」、かすみがうら市の坪井透市長は「恋瀬川の高倉集落で冠水対策を」と要望した。

 なお、県南(土浦)ブロックのほか県北(日立市ほか8市町村)、県央(水戸市ほか6市町)、県南(竜ケ崎)(龍ケ崎市ほか10市町村)、県西(筑西市ほか9市町)、鹿行(潮来市ほか2市)の5ブロックで、4月以降順次、協議会が設立される見通し。それぞれ来年3月末までに取り組み方針を策定する。


【①澤田土木部長②水害対策について議論した】

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