旧弘道館保存活用計画策定委員会(鈴木暎一委員長)の第6回会合が1月30日に開かれ、計画書の原案がまとまった。安政4年(1857年)の本開館時の弘道館の姿を目指し、2019年茨城国体までの短期整備としてトイレの建て替えや既設園路の改修、テニスコートの撤去や跡地整備などを推進。中長期(30年間)整備の方向性としては、文館(W造約2500㎡)など失われた藩校時代の諸施設の再現を目指していく。
保存活用計画は、旧弘道館の本質的価値「最大規模にして特色ある教育理念を掲げた著名な藩校」を適切に保存し、次世代へと確実に伝えていくことを目的として作成するもの。歴史的価値・文化的価値の検証、評価を行い、適切な保存管理のみならず、訪れた人が弘道館やその周辺の街並みを十分に楽しんでもらえるような観光面での利活用も検討する。
保存活用の目標は「藩校時代から残る歴史的な建造物や遺構を確実に保存管理するとともに、弘道館で行われていた教育のみならず水戸藩の学問・教育の伝統を伝える場所として、その活用を図り、後世に継承していく」としている。
17~19年度の短期整備の方向性としては、来訪者に情報提供するための整備や、利便性向上のための整備を実施する。
具体的には、ベンチの改修整備、テニスコートの撤去および跡地整備、公衆便所の建て替え、藤棚の撤去および跡地整備、収蔵施設の改修整備、既設展示の改修、既設園路の改修、指定地内動線のバリアフリー化、有料開放区域の退出専用口の整備、孔子廟、八卦堂、学生警鐘等防犯設備の整備などを進める。
また、正庁・至善堂地区の地下埋蔵物調査や文館地区の発掘調査による遺構確認も行う。
中長期整備の方向性としては、弘道館の姿の再現やガイダンス施設の新規整備について、調査・検討、調整・協議を進める。1868年に焼失した文館の復元は期間を要することが想定され、事業の認知度や地域の気運の向上を図っていく。
ガイダンス専用施設の設置では、管理事務所、収蔵・展示施設、企画展示施設、講習会を行う施設、休憩などのサービス施設を検討する。
このほか、管理事務所と倉庫・作業員詰め所の移転の検討や、駐車場の廃止(指定地内の一般車両の進入禁止化)などを進める。
委員会は今回で終了となり、今後は年度内を目途に策定作業を終わらせる見通し。
【図=中長期整備位置図】