生産性革命プロジェクトの一つとしてダム再生を進める国土交通省は、取り組み加速の方策を示すダム再生ビジョンを策定した。既設ダムを有効活用するダム再生では、堤体のわずかなかさ上げで貯水容量が大きく増加することや、短い期間で経済的に完成させ、早期に効果を発揮するなどの特長がある。かさ上げ等の施設改良に向けて、本年度から候補箇所の全国的な調査を進めており、近年の水害発生状況や検討の熟度、関係機関との調整などを踏まえながら2018年度以降に順次、事業化していく。
高機能化のための施設改良では、ダム洪水調節機能を十分に発揮させるため、流下能力不足によりダムからの放流の制約になっている区間の河川改修を重点的に実施するとともに、放流能力を強化するダムの再開発と下流河道の改修の一体的な推進、都道府県管理ダムの再開発を国や水資源機構が代行する制度の創設、ダム再開発ガイドライン(仮称)の作成などの方策も盛り込んでいる。
維持管理に関しては、維持管理の高度化に必要な設備等の建設段階での設置を標準化するほか、i-Constructionの推進、水中維持管理用ロボット、ドローン、カメラなどを用いた点検を進める。
また、直轄と水資源機構が管理する全123ダムでは、運用改善による新たな効果の発揮へ、洪水調節容量の一部を利水に活用するための操作規則等の改定に向けて本年度中に総点検を実施する。
他にも水力発電の積極的導入やダムを活用した地域振興などを通じてダム再生を発展・加速させる考え。
27日の会見で石井啓一大臣は「ビジョンで示した方策を具現化し、頻発する洪水・渇水の被害の軽減や再生可能エネルギーの導入などに積極的に取り組みたい」とした。