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山梨県道路管理課

南ア公園線の6橋/耐荷補強工へ17・7億増

2017/09/16 山梨建設新聞

 県の公共事業評価委員会が14日に県庁で開かれ、「道路修繕事業(県単)南アルプス公園線(早川大橋外5橋)」(早川町早川ほか)について審議した。これら6橋は、リニア中央新幹線のトンネル工事残土の運搬に耐えられるよう耐荷補強を計画しているが、詳細設計の結果、補強部材の重量が大幅に増加したことなどで、事業費を17億7500万円増額して24億7700万円に変更し事業を継続していくことが了承された。事業期間は2018年度まで。

 事業費を増額する6橋は、①中尾澤橋(L50・5m)②滝見橋(L41・8m)③奈良田橋(L126・3m)④慶雲橋(L43m)⑤蓬莱橋(L37m)⑥早川大橋(L111・6m)。これらの耐荷補強工事は多くが工事入札手続きを行っている。

 南アルプス公園線は、国道52号から南アルプス登山の玄関口である広河原を結ぶ観光道路。リニア中央新幹線の建設工事に伴い、トンネル残土の運搬車両などの大型工事車両が通行することになったが、車両重量規制(14t)の橋梁があり、増加する大型車両(20t超)が繰り返し通行することによる橋梁の損傷は、地域住民の生活や観光に大きな影響を及ぼす。

 そのため県では、重量規制のある橋梁の耐荷補強工事をJR東海との費用分担により実施する。費用割合は、JR東海89%、県11%。事業は16年12月に調査・設計に着手した。

 JR東海との協定では、リニア工事の全体工程を踏まえた橋梁耐荷補強工事の着手が17年10月末をめどとすることになっているため、今回の委員会に事業計画変更について諮った。

 県によると、変更対象のトラス・アーチ橋などの6橋は一般的な補強工法が可能と考え事業費を算出していたが、詳細な現地調査および設計を実施した結果、補強部材の重量が大幅に増加したことにより、抜本的な工法見直しが必要になった。

 補強工法を見直した結果、「当て板工法」と合わせて、荷重軽減対策としての「外ケーブル工」「支承取替工」「橋脚補強工」などの追加が必要となり、事業費が当初の約3・5倍の増額となった。

 リニア残土運搬の交通量は17年11月より段階的に増加していくことから、17年度予算により耐荷補強工事を早期に進め、18年度の完成を目指す。

 工法については、技術的地知見と経験が豊富な複数の設計コンサルタントと「技術検討会」を開催して、最適な工法を選択。さらに、工事発注や施工段階でのコスト縮減を検討していく。

 委員会では、時間管理や工程管理の徹底を求める意見などが出た。

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