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20年ぶりにゼロ県債/歳出予算は公共44億円/県10月補正

2017/09/29 日本工業経済新聞(茨城版)

 県は10月3日開会の定例県議会に提出する補正予算案を明らかにした。主なものでは、来年度の公共工事の平準化を図るため、20年ぶりにゼロ債務負担行為(ゼロ県債)を設定する。設定額は43億5500万円。一般会計では、追加する58億2600万円のうち、公共事業費が44億6500万円。国補で(仮称)石岡小美玉スマートICアクセス道路など4カ所の道路改良に16億8200万円を計上したほか、県単で4億4800万円を追加し、道路の落石防止や河川の護岸整備を行う。(3面に公共事業箇所付け一覧)

 今回の補正予算は、国から内示のあった国補公共事業や道路危険箇所の修繕など、必要最小限の項目に厳選。一般会計のみの計上で、補正後の総額は1兆1191億2600万円となる。前年度比は0・9%の減。

 公共事業の国補分では、地方道路整備事業として茨城空港と常磐道を結ぶ(仮称)石岡小美玉スマートICアクセス道路(石岡・小美玉)や国道294号常総拡幅(常総・下妻・筑西)、国道118号(水戸)、新都市中央通り線(つくば)の道路改良に16億8200万円。

 直轄事業は道路が10億9400万円。対象は東関道水戸線や国道6号の土浦バイパスなど道路改良8カ所、国道51号神宮橋架替(潮来・鹿島)をはじめとする橋梁工6カ所。

 治水直轄事業は河川激甚災害対策特別緊急事業を活用した鬼怒川の集中的な改修など、堤防整備・掘削9カ所に4億5200万円。港湾直轄事業は東日本大震災関連で、鹿島港(南防波堤、中央防波堤)に4億5000万円。

 県単公共事業は北茨城大子線(常陸太田市)や塙大津港線(北茨城市)ほか3カ所の落石防止、山口川(桜川)、逆川(水戸)、谷田川(龍ケ崎)の護岸整備など。

 地方創生関係では繊維・プラスチック産業支援拠点整備事業に1億1900万円を計上。結城市にある繊維工業指導所で空調設備改修や仕切り壁設置などを行い、高精度な温湿度環境や防塵・気密性、セキュリティを確保。繊維やプラスチック関連企業などへの支援を強化する。

 そのほか安心こども支援事業として、民間保育所など16施設の整備に10億4200万円、畜産競争力強化対策事業として畜産経営体の収益性向上に向けた牛舎などの整備支援に1億3000万円を盛り込んだ。

 ヘリコプター運航管理では茨城空港隣にある警察航空隊のセキュリティ対策を強化。5000万円を予算化しフェンス改修や侵入警戒センサー設置、警戒カメラの増設などを行う。なお、茨城空港についても直轄事業負担金として1200万円を計上している。

 また債務負担行為は、新規15事項のうち14事項43億5500万円が来年度の公共工事の平準化を図るためのもの。これまでも平準化に向けた前倒し発注に努めてきたが、今回、1998年度以来20年ぶりにゼロ債務負担行為を設定する。これにより本年度内に入札契約の手続きをし、来年度早々の工事着手が可能になる。

 主なものでは国道245号(東海村白方)ほか6カ所の地方道路整備に24億円、主要地方道つくば古河線(八千代町水口)ほか47カ所の舗装修繕に7億円、茨城港日立港区の防波堤建設に3億7000万円、都市計画道路十王北通り線(日立市十王町伊師本郷)の街路改良に3億2000万円、茨城岩間線(笠間市安居)ほか3カ所の舗装修繕に1億円を設定した。

 このほか街路改良工事費用負担契約として、都市計画道路水戸駅平須線の梅戸橋街路改良工事に係る費用負担についてJR東日本水戸支社と契約を締結する。期間は2018~20年度で、限度額は6億円。

 大井川和彦県知事は記者会見で、今回の補正予算案について「必要最低限に絞った。目玉とすれば、債務負担行為が非常に意味のあるもの。公共事業の平準化により事業者の負担、事業の集中による資材や人件費の高騰などの弊害を防ぐことができる」と話した。

 なお、9月28日には、10月22日投開票の第48回衆議院選挙に要する経費として、13億3400万円を専決処分した。

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