関東地方整備局は22日、埼玉県蕨市の蕨市民会館で第6回建政部セミナーおよび第2回建政部・金融セミナーを開催した。テーマは、ファイナンスによる公民連携まちづくりとし、整備局や地域金融機関職員など約200人が参加した。
多田治樹建政部長は冒頭「昨年2月に開始した建政部セミナーは、できるだけ幅広い視野を持つことや考えられるようになればいいと、多様なテーマで機会の提供を行ってきた。セミナーをきっかけに、同じ課題を抱える者同士のネットワークにもなっている。今回は地域金融機関の方にもご参加いただいており、これからより連携していきたいと思う。また、より良い公民連携のまちづくりに生かしていただきたい」とあいさつした。
第1部は、民間都市開発推進機構の担当者がMINTO機構のまちづくり支援について紹介。まち再生出資業務やまちづくりファンド支援業務の事例を挙げた。また、長期安定的な融資型支援の実績も示した。
第2部では、オガールベース代表取締役の岡崎正信氏を講師に招き、公民連携まちづくりの講演が行われた。秋田市や岡山県津山市といった官製の再開発の問題点を掲げ、中心市街地の魅力低下を引き起こし人口流出に加担していると指摘。一方で、低容積の再開発事業は空き床が発生する事業リスクが顕在化しないというメリットがある。また、低容積にすることで低層で高密度な町並みが形成され、人の歩行者動線は低密度な町並みに比べて作りやすくなるという。
岡崎氏が携わっているオガール公民連携事業施設(岩手県紫波町)は、都市型産業を興し魅力あるマチナカをつくること、町内の雇用創出などの課題解決に向け、経済合理性のある数字から取り得るリスクを抽出。金融機関と連携することで施設の巨大化を防ぎ自立できる規模とすること、事業開始前に事業精査が行われるため施設完成後の問題が事前に洗い出されるなどの意義がもたされることを説明した。
さらに、既存マーケットでは弱者は埋没することから、ライバルがいない分野に勝機を見い出して進出。施設規模を低容積とし、地元工務店に発注できる構造設計、意匠設計とすることで結果的に地域の企業や住民に愛されることになったと振り返った。まちの生き方として、過去に依存せず今を大事にし、変化することの重要性を説いた。
【写真=自治体だけでなく金融機関の職員も参加した】