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千葉県柏市

床面積1.4倍の116万㎡に/柏駅周辺グランドデザイン/UDC2が原案まとめる

2018/03/09 日刊建設タイムズ

 柏アーバンデザインセンター(通称UDC2)は、柏セントラル(柏駅周辺)の20年後の将来像を描いたグランドデザインの原案を取りまとめ公表した。20年後を展望しつつ、2040年を目標年次として、柏駅周辺(駅からおおむね半径500mの圏域)の居住人口を現在の約2倍の1万7000人、日中の滞在人口を同約2割増の3万8000人、パブリックスペースの面積を同約1・8倍の2万1000㎡とする「人やアクティビティ」の数値目標を掲げるとともに、この目標達成のため建物の床面積を現在の約1・4倍の約116万㎡とする「空間や環境」の数値目標も掲げた。

 UDC2は、公・民・学が一体となって柏駅周辺のまちづくりを推進する課題解決型のまちづくり拠点。柏市、同市まちづくり公社、柏商工会議所のほか多くの民間企業、大学が参加する一般社団法人で、都市計画、プロモーションなどの専門家が常駐している。

 16年5月に、地域住民の街への思いを集めた「柏駅周辺まちづくり憲章」を策定。この実現を目指して、20年後の将来像を描いたグランドデザイン(柏駅周辺基本構想)の策定を進めている。

 つくばエクスプレス沿線開発により、柏北部地域に新市街地が誕生したこともあり、柏駅周辺はかつての求心力が低下。加えて老朽化に伴い更新時期を迎えている建物が多い、小規模な建物が多く土地が有効活用されていない、若者が定住する割合が少ない、ファミリーやシニアの生活を支える機能が足りないといった課題も抱えている。

 こうした状況を踏まえて、グランドデザインでは、柏駅周辺の今後の取り組みとして、①街の魅力や拠点性を高めて交流人口を増やす②暮らしやすさを高めて定着人口を増やす③街並みの質を高めて回遊人口を増やす④パブリックスペースを充実させて滞在時間を増やすの4つのテーマを設定。

 また、40年を目標年次とし、「人やアクティビティ」の量の充実に向けて、居住人口(夜間人口)を現在の約2倍の1万7000人、日中の滞在人口(昼間人口)を同約2割増の3万8000人、柏駅利用者を年間7000万人超、駅周辺歩行者交通量を12万4200人、パブリックスペースの面積を同約1・8倍の2万1000㎡とするほか、「空間や環境」の量や質の充実に向けて、建物の床面積を現在(約83万㎡)の約1・4倍の約116万㎡にするとの数値目標も掲げた。

 建物の用途ごとの目標は、「暮らしの場(住宅)」については、柏駅の東西それぞれに14万㎡程度増加することで、現状27万㎡を55万㎡とすることを想定。特にファミリー層の受け入れやアクティブシニア層の潜在需要などに対応して、ゆとりのある居住環境の提供に努める。

 「活躍の場(業務)」については、トータルとして現状の規模である19万㎡を維持しつつ、新しい時代の働き方や産業に対応したオフィス(シェアオフィス・コワーキングスペース等)の誘致や、居住者のための生活支援施設(クリニック、子育て施設等)を誘導する。

 「商いの場(商業)」については、広域圏からの集客に依存した物販店舗から、近隣の居住者やワーカーなどをターゲットとした飲食店舗やサービス業への転換を推進。特に、地域特性や個性を備えた店舗の設置を誘導し街の魅力を高める。また、多世代が集い、交流できる施設(体験型施設)を誘導することで、滞在時間を増やす。これにより、現状25万㎡を26万㎡とする。

 「交流の場(文化・教育・公共)」については、柏駅周辺における民間開発等に伴う公共施設の移転や、それに伴う図書館やホール、アリーナなどの文化施設の整備を期待し、現状5万㎡を7万㎡する。

 「憩いの場(パブリックスペース)」については、基盤整備や民間開発等に併せて整備を進め、現状1・2万㎡を2・1万㎡とし、街の「居心地の良さ」を高める。

 まちづくりの方針としては、柏駅を取り囲むかたで駅前拠点ゾーン、その周辺に回遊賑わいゾーン及び暮らしと賑わいゾーンなどを配置するとともに、駅から放射線状に延びる主要な商店街の通りをシンボルストリートとし、回遊ネットワークを形成。

 駅前拠点ゾーンでは、駅前の面的なまちづくり(共同化・再開発等)を進めながら、商業・文化・教育・医療・福祉・スポーツ・宿泊などの集客施設や利便施設を充実。併せて北口改札口の新設や駅前広場の拡充・再生などにより、ゆとりと柏らしさを備えた駅前空間を創出する。

 回遊賑わいゾーンでは、シンボルストリート沿道の面的なまちづくり(共同化・再開発等)を進めながら、駅前拠点ゾーンと同様に集客施設や生活利便施設を充実。併せて居住人口の増加に貢献する住宅を増やす。

 暮らしと賑わいの複合ゾーンでは、まちづくりのルール(地区計画等)を定めるなどして段階的に街の魅力を高め、生活利便施設やファミリー向け・アクティブシニア向け住宅を増やし、居住人口の増加に貢献する。

 柏駅周辺では現在、柏駅西口北地区市街地再開発(約3・8ha)が事業化に向けて動いている。地元の準備組合では、昨年2月に三井不動産を事業協力者に選定するとともに、本年度は都市計画・施設計画及び再開発コンサルタント業務を日建設計へ委託している。また、三井不動産は、16年9月に閉店したそうご柏店の土地・建物売却の優先交渉権者にもなっている。

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