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対話事業者を募集へ/跡地利用計画へ反映/東大 西千葉キャンパス

2018/05/11 日刊建設タイムズ

 東京大学は、生産技術研究所附属千葉実験所(西千葉キャンパス)の柏キャンパスへの移転が完了したのを受け、学識経験者や千葉大学、千葉市、地域住民代表とともに「東京大学西千葉キャンパス跡地利用協議会」を設置し、跡地利用計画の策定に着手した。早ければ本年度上半期にも提案募集(1次募集)を行い、対話事業者を選定。民間事業者側の具体的な意向や事業の関心度を把握し、跡地利用計画に反映させる。開発事業者の募集(2次募集)については、跡地利用計画策定後、来年度以降に実施する考えでいる。

 東京大学の生産技術研究所附属千葉実験所(千葉市稲毛区弥生町)は、1962年から生産技術研究所の附属施設としての役割を果たしてきたが、昨年4月に柏キャンパスへの移転を完了した。これを受けて新たな土地利用を図ることとし、東京大学では昨年度、跡地利用に係るまちビジョンを策定するとともに、民間事業者等のニーズを把握するためにサウンディング調査を実施した。

 敷地はJR西千葉駅至近の約9・8ha。現在の都市計画は第1種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)、第1種高度地区(20m)で、住宅や共同住宅、寄宿舎等の居住機能、学校や病院、老人福祉センター等の公共性の高い施設の立地は可能だが、3000㎡を超える店舗、事務所、ホテル等は立地できない。

 隣接地には千葉大学西千葉キャンパスがあり、また、周辺には千葉経済大学、敬愛大学、県立千葉東高校、県立千葉商業高校、千葉経済大学附属高校等の教育機関が立地するなど「文教のまち」を形成している。

 昨年度策定した「まちビジョン」は、同跡地のほか隣接する千葉大キャンパスも検討対象とし、千葉大キャンパスも含めた全体の基本方針として①「文教のまち」にふさわしい都市機能の導入②「みどり」豊かな都市軸の形成③「地域拠点」としてふさわしい都市デザイン、東大キャンパス跡地の基本方針として④地域の活力、生活利便性、QOLの向上に貢献する機能の誘導⑤周辺地域と一体となったコミュニティの醸成・促進⑥災害時への対応の合わせて6つを設定した。

 また、土地利用の方向性に関しては、「〝文教のまち〟をリードする多機能ゾーン」で文化・教育・人材育成機能、周辺地域のニーズに合致した多様な生活支援サービス(子育て世帯向け、高齢者向け等)、生活支援機能(商業施設、各種サービス施設等)、医療施設・診療所、居住機能、「まちの骨格を形成する緑の軸」ゾーンで公園・緑道、オープンスペース等の緑地空間や飲食施設・交流施設、防災施設等、「質の高いライフスタイルを実現する地域コミュニティ」ゾーンでコミュニティ機能や生涯学習施設、居住機能、「産学官連携学際型研究」ゾーンで産学官連携を推進する機能(サイエンスパーク等)、グローバルキャンパスを推進する機能(カンファレンスセンター、研究者・留学生用宿舎等)、公民学によるローカル連携を推進する機能(地域連携施設等)の立地を想定。

 こうしたビジョンに基づいて昨年度行ったサウンディング調査では、調査対象9社(総合デベロッパー3社、住宅デベロッパー2社、商業デベロッパー2社、専門学校1社、流通業者1社)のうち、1社(専門学校)を除く8社が事業への関心を寄せ、8社すべてが提案募集(1次募集)へ参加したいとの意向を示した。

 跡地利用協議会は今年3月下旬に第1回目を開催しており、今後、1次募集で選定した対話事業者と意見交換を図りながら本年度末を目標に跡地利用計画を策定するとともに、東京大学では年度内に既存建物の解体に着手。来年度以降、土地利用に向けた諸手続き(都市計画等)の進み具合を見ながら、開発事業者(2次募集)の募集・選定につなげる。

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