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(研)日本原子力研究開発機構

ガラス固化体の保管能力630本、9段積に増強/東海再処理施設解体計画を変更申請

2018/11/13 日本工業経済新聞(茨城版)

 日本原子力研究開発機構は、核燃料サイクル工学研究所(東海村村松)の再処理施設の廃止措置(解体撤去)計画で、ガラス固化技術開発施設(TVF)におけるガラス固化体の保管能力増強などの変更認可を原子力規制委員会に申請した。保管能力を420本から630本に増強し、6段積みから9段積みとする。保管能力の増強対策工事(電源接続盤などの設置、経路上の保管セル換気設備の断熱材施工)は2019年9月から20年6月までを予定する。また、同技術開発施設の次期溶融炉の施工設計期間を2018年度の1年間から18・19年度の2年間に変更。これに伴い製作・築炉、作動試験の時期を19~20年度から20~21年度に変更する。


 核燃料サイクル工学研究所の廃止措置(解体撤去)計画は18年6月13日に認可を受けた。廃止措置の基本方針では保有する放射性廃棄物のリスク早期低減を当面の最優先課題としており、ガラス固化技術開発施設の保管能力を増強する。

 ガラス固化技術開発施設は、東海再処理工場の再処理の過程で発生する高レベル放射性廃液を処理するガラス固化技術などのプラント規模での実証を行うことを目的とした施設。

 保管セルには保管ピット70本(14×5列)と格子状に設置した3段の支持架構が設けられ、保管ピット1本当たりのガラス固化体の積段数は6段。支持架構は壁面に溶接で固定し、最下段は脚柱16本で建家床面に固定されている。

 変更計画では、積段数を9段とすることで保管セルの保管能力を420本から630本に増強する。

 増強に伴い、全動力電源が喪失した時でもガラス固化体の冷却を確実に維持するため、保管セル換気系の排風機などを可搬型発電機からの給電を可能とする電源接続盤などを設置する(2系統)。設置設備と場所は①電源接続盤(概略寸法約2・4m×約9・4m×約1・8m。1基)を排気機械室②電源切替盤1(約1・3m×約0・8m×約0・4m。10基)を排気機械室と給気室③電源切替盤2(約1・5m×約0・9m×約0・4m。2基)を排気機械室と給気室④ケーブル(架橋ポリエチレン絶縁難燃性ビニルシースケーブル。一式)を屋外、排気機械室、給気室。可搬型発電機(2台)は旧転換駐車場または南東地区に配備する。

 さらに、全動力電源喪失時でも自然通風換気状態によりガラス固化体の冷却は維持されるが、保管セルからの排気温度が通常換気時と比べ上昇することに伴い、排気経路上の部屋の温度が上昇するため、経路上の保管セル換気設備に断熱材を施工する。断熱材の仕様は、材質グラスウール、施工厚さ100㎜。施工対象範囲は保管セル換気系の排気ダクト(屋内)、フィルタ、保管セル換気系排風機。

 一方、保管能力が増加することから、遮蔽、耐震、ガラス固化体の冷却の設計方針を申請。そのうち耐震では、ガラス固化体の保管ピットおよび保管セル換気設備は、新たに策定した基準地震動に対して安全性が損なわれるおそれがない設計とする。

    ◇

 保管能力以外では、ガラス固化技術開発施設における次期溶融炉の詳細設計の結果を踏まえ、次期溶融炉の設計期間を18年度の1年間から18~19年度の2年間に変更する。これに伴い、許認可の時期を18年度から20年度に、製作・築炉、作動試験の時期を19~20年度から20~21年度に変更する。

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 廃止措置計画の変更申請ではそのほか、安全対策の検討に用いる基準地震動、基準津波、設計竜巻、火山事象について策定した。


【図=ガラス固化体増強計画、変更後スケジュール】

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