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事業者その他
見出し建設業界の声を代弁№3高力ボルト不足【中】/森山高至建築エコノミストに聞く  
掲載 2019年4月11日埼玉建設新聞  
本文

 高力ボルト不足について、建築エコノミストの森山高至氏は「深刻な状況が社会的によく知られていない」と話す。施工者が納品できなければ、資金繰りに行き詰まる可能性がある。事態が悪化する前に、建設業界は早急に立ち上がらなくてはならない。行政も非常事態を社会全体に周知することで「担当者の責任ではない」という環境作りが急務といえる。加えて銀行や不動産などへ理解を得ることが肝要となってきそうだ。

【約4割が鉄骨造/先手打つ施策を】

 このまま行くと五輪前に建設業界が危ない気がしています。と言うのも現在日本で建てられている建物の多くが鉄骨造です。国交省の統計では、昨年1年間にできた約60万棟の市場規模約27兆円のうち、約4割の約11兆円に当たるほどです。工事もあって仕事も決まっている。しかし納品ができない状況だと、お金が止まるので大変なことになるのではと危惧しています。
 施工者の資金繰りが困難になると、寝耳に水な施主はパニックになってしまいます。騒ぎが大きくなる前に政府はできるだけ早く先手で施策を講じ、情報を開示し、社会全体に事態の深刻さを理解させる必要がある段階だと思います。
 対応が後手に回ると、4月からの仕事が欲しい企業は「ボルトがなく、注文を受けれない」と言えないまま受注してしまうケースが出てきます。すると契約書を元に銀行で融資を受けながら、着工時にボルトがなく完成が遅れることが既に分かっている企業もいるでしょう。

【問題周知が急務/担当は責任なし】

 公共工事の担当者は、完成が予定より遅れれば、評価がマイナスになることを恐れます。よって行政は、非常事態を内外に認めて、担当者が責められない環境を作ることが急務です。担当者の責任ではないという状況を作らなければ、評価マイナスを避けるため、「できます」などの報告を挙げ、現場がさらに混乱することも予想されます。
 そのような最悪な事態を避けるためにも、行政は状況を把握すると同時に内外に向け、不可抗力で工期が延びることを周知する必要があります。特に公共施設は庁舎や病院、学校など重要な施設が多いです。よって建て替えなどの場合、既存施設の解体時期を遅らせるなど計画を見直す必要があります。さらに高力ボルトの単価が高騰しているため、工事費の見直しは必須となります。

【渋滞に近い現象/緊急融資制度も】

 仮にまだ在庫を抱えている企業があるとすれば、業界を挙げて数を把握して日本全体で優先順位の高いものから順次配給できるか検討するべきです。配給を進める途中で、高力ボルトの生産も間に合ってくると思います。製造メーカーに聞いたところ、現時点では請け負える量を超えているそうです。しかし問題が落ち着いた時を見据え、機械は増設しないそうです。
 また今回の問題は、生産不足の面がありますが、渋滞に近い現象と捉えています。例えば、ボルト不足を察した企業が昨年10~11月ごろ、必要数より多めに発注しているかもしれません。よって業界は、本当に足りないのか現状個数や多め発注数を正確に把握し、国・地方自治体・銀行・一般人など社会全体へ周知を図るべきです。
 工期が延びたり、優先順位の高い工事から外れたりした場合、緊急融資などの制度を設けて救済措置を講じることが必要となります。そのような手立てがないと、業界全体が危なくなると危惧しています。

【数社は受注停止/業界は協力のとき】

 高力ボルトメーカー数社からは既にフル稼働でも追い付かないため、受注をストップしたという話を聞きました。また原料の特殊鋼が車業界と取り合いになっています。業界を跨ぐ事案なので、国交省が間に入り、うまく調整する必要があります。今こそ建設業界の川上から川下まで一丸となって協力すべきときです。

<下編につづく>

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