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事業者その他
見出し建設業界の声を代弁№3高力ボルト不足【下】/県内外企業と行政に聞く  
掲載 2019年4月12日埼玉建設新聞  
本文

 ボルト不足問題の最終回は県内外の建設企業へ現状を聞き、発注者に直接言えない点を代弁する。県外鉄骨企業の役員は「継続的に工事を受注できるかがポイント。着工したくてもできない企業は多い」と明かす。問題の一つは、どの企業も高力ボルトの確保に必死で、通常より多めに発注している可能性が高いことだ。結果的に「10カ月待ち」という状況が生まれた。さらに行政への取材では、現状の認識について、建設企業との間に明確な温度差があることが浮き彫りになった。社会全体が深刻な現状について共有認識を持ち、協力することが解決の第一歩に違いない。

【現場はひっ迫/収束見通せず】

 「今はS造という言葉すら聞きたくない」。県内大手の現場から聞こえてきた声だ。現場は予想以上にひっ迫している。納期10カ月待ちに加え、商社やメーカと確約を結べないため、同企業の幹部は「年内はこのような状況が続くだろう」と沈痛な面持ちで話す。「10カ月待ち」について、同幹部は「各社が在庫を確保するため、通常より多く発注するダミー発注が積み重なった結果では」と分析する。
 また県内にある別の大手役員は「発注者にボルト不足による延期を伝えた。理解を示してくれたが、代理人が長期間拘束されるため、厳しい」と心境を語った。

【県外企業も同様/急な対応が困難】

 北陸地方にある鉄骨企業の役員にも話を聞くと「取引していた高力ボルトメーカーが受注をストップした」と明かした。メーカーの全力生産を上回る注文が押し寄せたからだ。同企業は2019年に計画するボルトを何とか確保したが、抜き差しならない状況が続く。同役員は「仮にサイズ変更や追加分が急に必要になった場合、対応できる状況ではない」と苦しい。
 国土交通省の調査(18年度実施)では、納品長期化と工期への影響が顕著に示された。さらに同省は高力ボルトの発注を控えるよう業界へ要請。しかし同役員は「鋼材商社が買い占めている。ゼネコンへ優先的に回しているとみられ、こちらまでなかなか回ってこない」と嘆く。続けて「継続的に工事を受注できるかがポイント。着工したくてもできない企業は多い」と鬼気迫る声だ。
 
【行政は実感なし/認識 業者とずれ】

 「ニュースで聞いたことはあるが、現段階(3月時点)で影響は感じていない」。複数の自治体幹部から得た回答だ。建設企業の反応とは明らかに違うため、温度差が明確となった格好に。県内のA市幹部は「1件だけ受注者から相談を受けたことがあるが、工程を見直して対応してもらった」と明かす。
 同じくB市幹部は「公共施設はRC造が多い。また新築より改修が多いため、鉄骨造を扱う機会が少ない」と説明。C市幹部も「受注者、協会などが発注者に言っていないだけかもしれないが、ボルト不足の実感はない」と語る。

【今後はダミーと/温度差の対応を】

 年内は続くとみられる事態を乗り切るには、建築エコノミストの森山氏が話す「社会全体の理解」が欠かせない。業界はダミーで膨れ上がった発注数から正確な必要数を把握する必要がある。
 国交省は車業界と掛け合い、特殊鋼材の確保に力を割くべきだ。行政は建設企業との温度差を解消することが先決。まさに「庁内外に非常事態を認め、担当者が責められない環境を作ることが急務」といえる。
 今後は広く世間に公表することで、動きやすい雰囲気を醸成することが解決への第一歩となる。今こそ社会全体が協力するべきときだ。

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