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新産業廃棄物最終処分場/管理型で最大260万立方m/早ければ23年度着工、25年度供用

2019/05/31 日本工業経済新聞(茨城版)


 県は27日、第2回新産業廃棄物最終処分場整備のあり方検討委員会(委員長・大迫政浩国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長)を県庁で開催した。新たな産業廃棄物最終処分場について、公共関与の手法により整備を進めていく必要があり、埋立容量170万~260万立方mの管理型が望ましく、埋立期間は15~20年程度が適切であるとの見解を示した。候補地は段階的に絞り込み、複数の中から県が決定する。早ければ2020~21年度に候補地を決め、20~22年度に基本計画・用地取得・環境影響評価・実施設計を行い、23年度から建設工事、25年度の供用開始を目指す。

 県内では県関与の管理型最終処分場、エコフロンティアかさま(埋立面積9・8ha、埋立容量240万立方m)の埋め立て進捗率が6割(17年度末)まで進んでおり、今後7年程度で埋立が終了する見込みとなっている。

 民間事業者による管理型最終処分場は04年度以降、新規の設置許可が無く、現処分場の埋立が完了するまでに新たな産業廃棄物最終処分場の整備ができるよう検討する必要がある。

 このため、県では有識者などによる検討委員会を設置し、1年程度で基本方針を策定して整備可能地を絞り込む検討を行うことにした。

 3月27日には第1回委員会が開かれ、県が検討の趣旨や廃棄物の現状などを説明。

 第2回のこの日は、公共関与の必要性、機能、候補地選定の方法、事業運営主体、想定スケジュールなどの説明を行った。

 新たな産業廃棄物最終処分場の整備については、エコフロンティアかさまの後継施設として公共関与の手法により進めていくことの必要性を提示。

 種類は管理型が望ましいとし、施設方式(オープン型、クローズ型)についてはそれぞれの特徴を踏まえ候補地選定とともに検討するとした。

 位置については、海面埋立は莫大な費用を要することなどから、陸地から選定することが望ましいとした。

 埋立期間はエコフロンティアかさまの実績(おおむね20年程度)などを踏まえ、15~20年程度が適当と説明。

 埋立容量についてもエコフロンティアかさまの実績(年約9万6500立方m)を参考とするとともに、県内の最終処分量は今後年13万t程度で推移していくと仮定し、「おおむね170万~260万立方mを確保することが望ましい」とした。容量決定に当たっては、事業の採算性について十分に検証が必要としている。

 中間処理施設については、民間施設の設置状況などを踏まえながら必要性の有無を検討していく。

 候補地選定は県内全域を対象に、整備可能地を調査・選定して段階的に絞り込む。調査は来年3月末までの納期で㈱建設技術研究所(東京都中央区)が実施中。

 法令上の規制区域や地形、周辺状況のほか、地盤、動植物、水処理などの専門的知見による検討、生活環境や経済性による検討比較などで絞り込みを行い、複数の候補地の中から県が最終候補地を決定する。

 事業運営主体は、国庫補助金の活用や公共が関与することによる信頼性、事業の継続性などの観点から、廃棄物処理センターの指定を受けた出資法人等が望ましいとしている。

 今後は7月ごろに第3回委員会を開催し、基本方針案などを検討する見通し。本年度中に整備可能地も検討し、20~21年度に候補地を決定、22年度までに実施設計まで終わらせ、23~25年度に建設工事を実施する。

 なお、エコフロンティアかさまは1998年に公共処分場立地調査会が設置され、2000年に笠間市を最終候補地として決定。02年10月着工、05年8月に開業した。

 敷地面積は28・6ha。整備費用は合計246億5700万円で、内訳は最終処分場が131億1500万円、溶融処理施設が60億7000万円、浸出水処理施設が12億9000万円、その他が41億8200万円となっている。

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