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【道路の耐災害性強化】災害配慮し設計基準見直しを

2019/06/25 本社配信

 災害時に生命線となる道路を対象として、大災害への備えに万全を期すために今後講じるべき施策を検討してきた国土交通省の有識者会議が、提言案を固めた。2016年4月の熊本地震以降、近年相次いだ地震、風水害、豪雪災害で得られた教訓を踏まえ、道路の耐災害性強化の本格実施に向けた施策を盛り込んでいる。具体的には、非常時における柔軟な車線運用のメニュー化と共有、災害に配慮した道路構造令等の設計基準類の見直しなどを提言する。

 非常時に一部の車線が使えなくなった場合の復旧作業を進める上での工夫では、▽路肩の積極的な活用による走行空間の確保▽LEDを利用した区画線標示の活用▽可動式中央分離帯の活用を含むリバーシブルレーンの適用▽臨時に設置する信号の効率化―の技術をメニュー化し、関係者間で共有する仕組みづくりが必要とした。また、各工夫を表彰する制度を設け、優良事例を広報し、他地域にも展開していくことを求めている。

 さらに、今後は災害発生リスクの高い地域において、道路の構造に十分な余裕を持たせるため、道路構造令を見直して2車線の道路の路肩を従来よりも拡幅することや、緊急車両のための緊急入退出路の設置、回復力・復元力のある構造として原則4車線化など、路線の重要度に応じて災害に配慮した構造基準へと見直す必要があるとした。

 他にも幹線道路の耐災害性が高くても、末端部の都道府県道や市町村道等の重要な部分が強化されていなければネットワークとして機能しないため、地方道を含めた耐災害ネットワーク構築の枠組みを整理した上で、路線ごとの評価を進めるべきと提言。幹線道路から地方道までが一体となった復旧計画については、国と地方自治体が平常時から連携し、被災状況を踏まえた計画の策定方針を事前に議論しておくなど、事前準備の強化の必要性も指摘している。

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