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国土交通省関東地方整備局(建設)

関東地整、栃建協が意見交換、安定・持続的な予算確保へ、直轄工事への参入支援を

2019/07/10 日本工業経済新聞(栃木版)

 国土交通省関東地方整備局(石原康弘局長)と県建設業協会(谷黒克守会長)は8日、宇都宮市の県自治会館で意見交換会を開催した。谷黒会長は多くの地元建設業が直轄工事を受注できるよう業者の育成支援策の創設を求めた。協会の主要3テーマに対し、関東地整は①施設の維持管理や災害時には「地域維持型JV」への結成・参加や「官公需適格組合」対象の在籍出向者の監理技術者運用制度の活用②市町に対する新担い手3法への趣旨説明を徹底する③関東地整の今年度当初予算は国土強靭化3カ年緊急対策に約2000億円を計上。3カ年対策後も国土強靭化基本計画に基づく必要予算を確保する-と回答した。

 石原局長は「改正品確法の趣旨を踏まえ、地域インフラサポートプラン関東ヴァージョン3を策定した。地方公共団体の発注者育成支援を通じ、新担い手3法の効果が上がるよう努力する。生産性向上、働き方改革、災害時対応の意見を吸い上げたい」とあいさつ。

 谷黒会長は「国土強靭化3カ年緊急対策の推進に取り組み、集中期間以降も国土強靭化に力を尽くす。事業量の確保と予算配分をお願いしたい。我々は地域の守り手の使命を一層自覚し、地域社会から信頼される存在であり続けなければならない」と述べた。

 協会は①働き方改革と災害対応(柔軟に労働者を供給できる仕組みづくり)②新担い手3法の全発注機関への浸透③今年度国交省予算と施策の地方展開-をテーマに設定。自由討議では①新3Kへの取り組み②地域の守り手となる建設業の地位の確立-を質問した。

 協会は施設維持管理や自然災害に即応するには、建設業者同士で人や資機材が融通できる仕組みが不可欠と提案。関東地整は施設維持管理の実施体制確保に向け「地域維持型JV制度」があり、監理技術者は「官公需適格組合」で在籍出向者を認めていると返答。

 新担い手3法は働き方改革、生産性向上、持続可能な事業環境改善に有効な法改正。都県単位の発注者協議会で改正品確法を始めとする新担い手3法を周知し、発注関係事務運用指針策定に先立ち地方公共団体や協会の意見を参考にすると回答した。

 関東地整の国土強靭化予算は約2000億円、県事業費は前年度比1・08倍。河川砂防は樹木伐採・掘削、堤防強化、土砂・流木対策、道路は冠水、耐震、無電柱化対策が柱。目標達成率はフォローアップし、災害に強い国土づくりを推し進めていくと施策を紹介。

 新3Kへの取り組みは7年連続で労務単価を引き上げ、下請け代金のうち労務費相当分は現金支給を要請。週休2日工事は直轄工事で拡大。関東圏専門工事業担い手確保・育成推進協議会を組織し、若者が夢と希望を描ける専門工事業を目指していると説明した。

 地域の守り手の地位確立は、総合評価落札方式で地域精通度や貢献度を高く評価。35歳以上の技術者活用の場合は加点評価、40歳以下の技術者育成型工事の適用範囲を拡大。国工事実績のない業者へ技術提案チャレンジ型工事を試行し、参加意欲を喚起している。

 石原局長は「久しぶりに大型予算が付き、発注計画を立て適切に執行していく。技術者確保や業務の効率化に留意し、発生率の高い建築工事の不調・不落工事を改善したい。受発注者ともに良い仕事につなげるため、意見があれば提案を願いたい」と呼び掛けた。

 谷黒会長は「国発注工事にかかわりの持てる企業を増やしたい。米国のメジャーリーグに上がる過程の3Aや2Aのように業者を育てるような国の支援がほしい。事業量は多いとは感じていない。地域間格差が存在する。より予算の確保を求めたい」と訴えた。

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