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新時代の技術者像学ぶ/全国大会に102人参集/全国G空間情報技術研究会

2019/07/26 長野建設新聞

 全国の中小測量・設計会社で組織するNPO法人全国G空間情報技術研究会(碓井照子理事長)は11日、第14回全国大会を東京都江東区のタイム24ビルで開催した。各地から102人が参集し、令和という新たな時代における測量業の在り方や、急速に発展し続けるスマート社会への対応策などを学んだ。

 碓井理事長は「『GISは古い、時代は3次元だから新しい技術が必要だ』と思い込んでいる傾向がある。GISよりもi-Conだと思っている方は間違い。全てはGISが基になっている。これからの測量業は幅広く資格を取得する必要がある」と述べ、GISを基本としたBIM/CIMの各情報を一元化した活用方法を講和した。

 また、国土地理院の鎌田高造参事官が「衛星測位時代の測量シーン」と題して、令和時代における技術者の役割や、測量会社が生き残るための工夫について講義。「測量技術は大きく変わった。令和の時代に技術者が生き残るためには、機器の操作能力が高いことはもちろん、倫理と実際の方法の両面を説明できなければいけない。また、国家座標、地殻変動補正の意義や必要性を理解することも必要」と述べた。

 昨年度に引き続き会員同士の意見交換会も開催。「技術系」「営業系」「経営者」の3区分6グループに分かれて、将来の展望、働き方改革、新技術の取り組み、今後の測量・設計業の在り方などについて情報を共有した。

 経営者グループでは、人材の確保に関して「中小企業は親族に受け継いでいく傾向にあるが、考えを改める時代がきたのでは」「自社しかできない分野への進出が鍵」「残業をなくすため業務の効率化を図っているが、社員には残業がないと生活に困ると言われる」といった声が聞かれた。

 また、技術系グループでは「公共に依存することをやめ、新技術を勉強している」「人材確保が難しいため、社員全員が同じ資格を取得し対応している」、営業系グループでは「空家対策のデータを保持しているのは測量業。これを積極的に活用する」「大手ゼネコンは専門の技術者がおり、固定資産や都市計画はがっちり押さえられている」「大手ゼネコンと対抗するには勉強。生半可ではだめ」との発言があった。参加者の一人は「どこの会社も懸命に自助努力している。非常に参考になった」と話した。

 技術者発表では全国6支部の代表が地理院タイルの研究成果を発表。関東中部支部からは小堀俊明氏(第一測工代表、栃木県)が登壇し、中小企業の強靭化対策として、レジリエンス認証制度(内閣官房)や中小企業無災害記録授与制度(厚生労働省)、持続可能な開発目標(国連・外務省)などの活用策を紹介した。

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