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甲斐市がバイオマス発電の排熱を活用 全国初の試み

2019/07/26 山梨建設新聞

 甲斐市は木質バイオマス発電で出た排熱を公共施設の空調設備の熱源などに活用する。専用の管で発電所と近隣の公共施設とを結び熱を供給。二酸化炭素排出量を抑制するともに燃料費削減につなげる。同事業は環境省の補助事業として実施。市によるとバイオマス発電の排熱を他の施設の熱源に活用するのは全国で初めてという。

 排熱の供給先として挙がっているのは、給食センターと双葉B&G海洋センター、市営温泉「百楽泉」の3施設。これらの施設は互いに隣接しており、発電所建設地の西約300mに位置する。近隣には双葉体育館もあるが、数多くの施設への供給は難しいと判断し候補から外した。

 供給された熱は各施設の暖房設備や給湯設備などの熱源として活用する。市担当者は「3施設全ての熱源を賄うのは難しいだろう」と話しており、今後詳しい調査を行い供給先を決める。システムの構築は市主体で実施。施工には専門性が高いプラント部分を除き、市内・県内業者を活用する見込みだ。

 市は22日にシステムの導入調査と事業計画の策定に関わるプロポーザルを公告。8月下旬に行われる審査を経て9月中旬に業者を決定する。その業務内容は①供給先の3施設で必要なエネルギー量②発電所から供給できる最大エネルギー量③エネルギーの供給から活用に至るまでのシステム概要④このシステムを使うことによるエネルギー削減量-など。業務の履行期間は2021年2月まで。委託費は1700万円程度を見込む。

 市によると、バイオマス発電の排熱そのものを熱エネルギーとして活用するのは全国初の試み。このためシステムの設計に当たっては同種の事業について豊富な知識・実績がある業者に入ってもらう予定だ。

 木質バイオマス発電所は双葉スポーツ公園(同市岩森地内)北側に計画。現在は畑が広がっており、今後市が用地を取得する。プラントの建設・運営、燃料となる木材の調達は日立造船(東京都品川区)が主体で立ち上げるSPC(特別目的会社)が担う。昨年度中に市とSPCとで基本協定を結び事業着手する予定だったが協定書の作成に時間がかかっており、「年内には協定を結ぶ見通し」(市環境課)。発電量は6950kWh。22年度中の稼動開始を目指している。


【写真=市営温泉の熱源に活用】

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