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事業者その他
見出し人材定着に親睦や休暇/事業承継の課題は「工事量」/地域建設業アンケート  
掲載 2019年10月3日日本工業経済新聞(茨城版)  
本文

 東日本建設業保証㈱は、地域建設業の課題である担い手確保について建設業者に聞いた「地域の守り手」アンケート調査(2019年1月)で、自由に寄せられた「従業員の定着率向上への工夫」と「事業承継の課題や必要と感じる支援策」についての事例集をまとめた。定着率の向上で茨城県内業者(回答174社)の取り組みでは「懇親会や社内旅行を通じて会社内の親睦を深めている」(業種は土木)があり、全体でも「コミュニケーションの充実」や「休暇取得推進」に力を入れている回答が多かった。事象承継に関しては、県内業者(回答45社)から「今後仕事の量が減るであろう建設業を継ぐリスクは大きい。公共工事の安定的な発注と地域格差のない工事の発注をお願いしたい」(土木)という意見があり、安定的な工事量の確保、人手・労働力不足への対策を求める意見が目立った。

 取り組みや意見は、アンケート調査の際に自由に書いてもらった内容をまとめた。まとめた冊子は同社の支店などで配布する。
 アンケート調査は、同社の顧客で資本金1億円以下の建設業者を対象に行った。調査期間は今年1月9日~1月31日。代表者や経営管理者に回答を求めた。
    ◇
 調査で寄せられた意見等は次のとおり。

 【従業員の定着率向上のための工夫】
 「休暇取得推進」「コミュニケーションの充実」「給与・賃金の引き上げ等」「福利厚生の充実」を挙げた企業が多かった。
 休暇取得の推進では、就業カレンダーや休暇予定など、あらかじめ年間計画を作り、年次休暇が取りやすい環境づくりに力を入れている。
 主な意見では「工程を見直し、休日(連休)を毎月取るようにしている」(長野県・土木建築)、「子どもの行事を優先し、有給を取得するようにしている」(富山県・土木)があった。
 コミュニケーションの充実では、若者への声掛けを積極的に行う、親睦会や食事会などで社員間の親睦を深めている。主な意見は「定期的な面談。品質会議への全員参加」(東京都・建築)、「職場活性化委員会を開催し広く意見を求めている」(長野県・土木建築)など。
 給与・賃金の引き上げでは、賃金や評価制度を明確化して安心感を与えるだけでなく、諸手当の充実、日払いを月払いに変更した企業も多い。意見では「資格を取得した物は賃金を上げ、専門校などへの入校も可能にする」(千葉県・管)、「40歳以下の賃金アップ。60歳以上の再雇用者の建退共加入」(静岡県・土木)があった。
 福利厚生の充実では、社会保険への加入が定着率向上に役立っているという意見が多い。健康への気遣いへの意見もあった。
 茨城県内企業からは「新卒採用者と入社後1カ月間、交換日記のようなノートを交わしている。社長と直接、文字による会話を行うことで入社直後の対人関係や社会との関わりの手助けになると思う。また親睦会やボーリング大会、社内旅行を通じて会社内の親睦を深めている」という取り組みが寄せられた。
 残業の削減・柔軟な働き方では、工程のやりくり、若い職員には残業を命じないという配慮などを行っている。主な意見は「若者が好みそうな作業服のデザインを使用。社用車、ダンプ、重機は新しいものに入れ替えた。早出、残業をなくす」(富山県・土木)、「現場担当者は、できるだけ居住地と現場位置が近い社員をシフトできるよう工夫している(直行直帰可)」(愛知県・土木)。
 職場環境の改善については、iPADの導入で仕事の仕組みを改善、作業服や車両をきれいにするなど、働く人を意識した環境を整備している。意見では「悪天候の時でもできる仕事を日ごろより準備しておく。機械等の整備や新工法の実験を行う等、遊びの時間を無くすことで従業員の安心を得ることと不安を除くことにつながると思う」があった。
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 【事業承継の課題や必要と感じる支援策】
 課題として「経営の安定・工事量の確保が見通せない」「人手不足・労働力不足」が多い。
 地域の過疎化が進んで将来の工事量に不安があり、経営の先行きが不透明という意見、建設業のイメージが悪いという声も寄せられ、事業承継をためらう一因になっている。
 経営の安定については、茨城県の業者(管)から「地方の小工事にも大手ゼネコンが参加する傾向があり、また技術の内製化、業者の囲い込みが進んでいる。施工力の確保のためと理解しているが、今後、中小施工業者の淘汰が進むのではないか。地方都市の公共サービス・インフラが維持されるか不安に感じている」があった。
 その他の意見は「建設業を行うにあたり、承継してもメリットがあるのか疑問。複雑な環境にあるのに、承継する者が苦労するのが見えている。そこまでして継がせる意味はない」(三重県・土木)、「受注産業であることが最大の課題。次年度さえ受注見通しができない現状では、人材育成や事業承継は難しいのは当然。また資格要件が厳しいので、実務は優れていても施工可能な工事の技術者に配置できない技術者がいる」(神奈川県・土木建築)。
 人手不足・労働力不足については、若手が不足しているだけでなく、働き手そのものがいないという悩みが多い。技能者になるまで10年はかかるので、それを見越した人材の確保が課題となっている。
 茨城県の業者からは「私も2代目で経験しているが、トップが代わると幹部も全員代わった。次代には新しい幹部が必要」(業種は不明)という声が寄せられた。
 その他の意見では「施工管理をできる人材、労働者とも確保が難しい。外国人実習生を受け入れることにしたが、人材不足の解決にはならず、長く働ける環境を整える必要を感じる。資格や専門的な知識をもった人が少なくなっている現状を打開するには、絶対に外国人を増やしていく必要がある」(神奈川県・管)、「学校も週休2日で育ってきた子どもが、建業業を選ぶと完全週休2日でなくなる上に、祝日も仕事をするのが当たり前の世界に入ってくるわけがないと思う。工期と予算の見直しが急務だが、予算はともかく工期だけでも完全週休2日による設定を義務付ける法律に改正してもらいたい」(愛知県・電気)があった。
 行政による支援策では、茨城県内業者(建築)から「県内に建築を学べる大学を増やしてほしい。建築学部を増やして若者が集まるようにしたら、少しは県外に出てしまう若者を抑えられると思う」が寄せられた。
 その他の意見では「中小企業に入職者が増えるような施策を国には取ってもらいたい。企業側に対する支援ではなく、中小企業に入職する本人が優遇される仕組みが必要」(富山県・土木)があった。

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