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茨城県廃棄物対策課

整備候補地46カ所を抽出/県の新産廃最終処分場/2次調査で絞り込みへ

2019/10/31 日本工業経済新聞(茨城版)

 県廃棄物対策課は、公共が関与する新しい産業廃棄物最終処分場の整備を議論している検討委員会(10月7日開催、非公開)の結果を公開した。委員会では整備可能地として地形や全体必要面積(概ね30ha~50ha)などを考慮した第1次選定結果を協議し、県内全域で46カ所を抽出したことを了承。対象市町村の公表は混乱を招くという理由で数のみを公表した。次回委員会では地盤などの自然条件や生活環境などを考慮した第2次調査を協議し、候補地を絞り込む。


 県がまとめた新産業廃棄物最終処分場の整備基本方針によると、新しい施設は管理型で、埋立容量は170万~260万立方m、埋立期間は15~20年程度。

 整備候補地は段階的に絞り込み、2019年度内に複数の候補地を選定する。さらに21年度までに整備地を決定し基本計画の策定などを進め、23年度から建設工事を行い、25年度の供用開始を目指す。

 新たな産業廃棄物最終処分場の整備候補地は、県内全域を対象に整備可能な地点を調査・選定し、3段階に分けて絞り込む。

 第1次調査では、農業振興地域に該当しないという土地利用計画、土砂災害危険箇所に該当しないなどの防災面、下水道計画区域から5㎞以内という浸出水処理水放流条件、交通アクセス、周辺状況などを考慮。

 さらに最終処分場の整備に併せて付帯施設の整備も検討するため、これらを整備可能な用地を確保できる面積として、全国の事例や運用している最終処分場「エコフロンティアかさま」(埋立面積9・8 ha、埋立容量240万立方m、笠間市福田)の事例を参考に、概ね30 ha~50haが必要なことを整理。

 これらを考慮した結果、整備可能地として46カ所を抽出した。

 対象市町村名は、混乱を招くおそれがあるという理由で数のみの公表となった。

 検討委員会では、委員が「土地利用されているところは候補地から外すのか」と質問し、県では「外すことで整理している」と回答。住居については「人口が250mメッシュで1人以上いない箇所としている」と説明した。

 採石場跡地については「面積が取れそうなところは候補地に含めている」と回答した。

 さらに「主要道路からの距離は、当初は2㎞としていたが、数が多くなったので直線で1㎞とした。また、農業振興地域も実際に造るのは難しいと考えた。下水道についても、エコフロンティアかさまの接続距離が4㎞ということも踏まえ5㎞程度とした」と説明した。

 埋立高さを15mと想定していることについては、委員が「山を15m掘るのか。低いところを活用するのか」と質問。県では「エコフロンティアかさまは採石場跡地で深くなっているが、全国の事例は15m程度ということで埋立面積を想定している」と応じた。

 今後は第2次調査として地盤や動植物、水処理などの専門的な観点から検討。3次調査では生活環境や経済性などによる比較検討や総合評価を行い、複数の候補地から最終候補地を県が決定する。

 整備可能地調査業務は20年3月末までの納期で㈱建設技術研究所(東京都中央区)が行っている。

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 県関与の最終処分場は管理型最終処分場「エコフロンティアかさま」があるが、18年度末の埋立進捗率が6割超で、25年度ごろには埋立終了となるため、それまでに新たな施設を整備する必要がある。

 そのため県では有識者などによる「新産業廃棄物最終処分場整備のあり方検討委員会」(委員長・大迫政浩国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長)を設置し、整備方針等を協議。協議結果を受けて県が整備基本方針をまとめた。

 基本方針によると、新たな産廃最終処分場は公共関与の手法で整備を進める。

 事業運営主体は、廃棄物の適正処理と継続的な運営のため、県関与の管理型最終処分場「エコフロンティアかさま」の運営実績がある県環境保全事業団など廃棄物処理センターの指定を受けた県出資法人等とする。

 新処分場の種類は、廃棄物の無害化や不溶化などの中間処理を行う「管理型」。形態については屋根の無い「オープン型」、被覆構造物で覆う「クローズ型」について、それぞれの特徴を踏まえ、候補地の選定とともに検討する。

 埋立期間は、施設整備の検討開始から供用まで少なくとも7~8年が掛かり、さらに次の新施設の整備を見据えると15年以上分が必要となる。エコフロンティアかさまは20年程度の埋立期間でもあり、新施設は15年~20年程度とする。

 埋立容量は170万~260万立方mを確保する。県内発生土の最終処分量の目標やエコフロンティアかさまの実績などを踏まえ想定。

 中間処理施設を併設するかについては、廃棄物処理の動向や候補地周辺の民間処理施設の設置状況、地域産業との連携の可能性、用地確保などを勘案しながら検討していく。

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