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山梨県甲斐市

公設民営に決まる 甲斐市のフラワーバーク・ミュージアム

2019/11/01 山梨建設新聞

 県緑化センター跡地に計画するフラワーパークアンドミュージアムの事業手法について甲斐市は公設民営とする方針を固めた。民間事業者が施設の設計や建設、維持、管理を担い、市が資金を負担。施設の所有権は市が持つ。事業者の参加形態に大きな縛りは設けず、単体企業のほかJVなどでの参加も可能にする。事業期間は17年間。市は11月上旬にも公募要綱の素案を公表し、2020年1月の公募開始を目指す。

 同事業は官民が連携して公共サービスを提供するPPP事業として実施。その中でも市が資金を用意し、民間が設計・建設・管理・運営を行うDBO方式(公設民営)を採用することにした。

 事業期間は当初20年間としていたが設計・建設に2年、その後の管理・運営が15年の計17年間に設定。市幹部は「15年程度で施設の改修が必要になるとの民間事業者の見立てを考慮した」と話した。2010年にPFIで事業着手した県の防災新館も事業期間は約17年6カ月に設定していた。

 事業者の形態については特にこだわらず、単体企業、JV、グループ、SPC(特別目的会社)などで参加できるようにする。当初は市とのやり取りや事業評価がしやすいSPCでの参加を求める案もあったが、一部事業者から「立ち上げるのに経費が掛かるため、SPCが条件では参加を見送らざるを得ない」との意見が出たため、多くの事業者が参加しやすい条件を検討した。

 事業者に提案してもらう施設内容として「美術館」「有料公園」「無料公園」「駐車場」の4つを軸に据える。敷地面積は約2万5000㎡。美術館にはバラを描いた作品が有名な植物画家ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテなどの作品を収蔵。概算事業費算定時には約1200㎡の平屋、計7億2000万円の建設費を見込んでいた。有料公園は美術館の作品に合わせバラが広がる庭園。無料公園は市民の憩いの場となる緑地をイメージする。

 事業者への聞き取りの中では、このほかにカフェなどの商業施設を設置する案もあり、集客力がある企業がテナントとして入る可能性もある。市幹部は「できるだけ民間事業者の意見を生かすため、自由度の高い提案が生まれるような募集要項にしたい」と、提案に対する条件は最低限にとどめる考えを示した。

 市は28日、市議会特別委員会で公募要項の素案を説明。委員からおおむね了承を得た。当初予定からは若干ずれ込み11月上旬には同素案を公表する予定。年明けにも公募を開始し、2020年度の早い時期に事業者を決定する見通しだ。現場では現在、残された建物などの解体を矢崎興業(笛吹市)が行っている。


【写真=活用計画が注目される緑化センター跡地】

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