建設業の未来を拓く (株)日本工業経済新聞社 ホーム 会社概要 サイトマップ お問い合わせ セキュリティーポリシー サイトポリシー
埼玉建設新聞 日本工業経済新聞 茨城版 群馬建設新聞 山梨建設新聞 新潟建設新聞 長野建設新聞
ここに表示されている情報は有料サービス「入札ネット」で閲覧できる情報のほんの一部です。
入札ネット(無料ID)にログインすると、工種やキーワードで絞って一覧表示できます。
さらに詳しい内容は無料IDでご確認ください。→「入札ネットとは

事業者その他記事(公共)
見出し八ッ場など機能発揮するダム群、台風19号の豪雨にも対応  
掲載 2019年11月9日群馬建設新聞  
本文

台風19号による豪雨。過去に類を見ないほどの大雨に見舞われたが、かつてのカスリーン台風のような未曾有の大規模水害発生には至らなかった。その陰には、ダムや遊水地などが持っている洪水調節機能が大きく貢献したことは間違いない。民主党への政権交代で言われた「コンクリートから人へ」。その代名詞となった八ッ場ダムは、折しも試験湛水が始まったばかり。貯水容量いっぱいまで洪水を受けることができ大きな効果があったと言える。2日に同ダムを視察した赤羽赤羽一嘉国土交通大臣も「利根川の氾濫という危機的な状況を救ってくれた」と話している。八ッ場をはじめとする県内各地のダムもその能力を発揮。下流の渡良瀬遊水地も過去最大となる1・6億立方mの水を溜め込むなど、治水施設総動員で大規模水害の発生を抑制した。

【八ッ場ダムが活躍】
利根川水系吾妻川にある八ッ場ダム(長野原町)は堤高116m、堤頂長290・8mの重力式コンクリートダム。集水面積は7114平方km、総貯水容量1億750万立方m、有効貯水容量9000万立方m。容量配分によると洪水期の洪水調節容量は6500万立方mとされる。なお、標高は基礎岩盤470m。最低水位536m、洪水期制限水位555・2m、常時満水位583m、堤頂586m。試験湛水が10月1日に始まったところだった。

○13日の関東地方整備局発表
台風19号は10月11日午前2時から10月13日午前5時にかけて長野原観測所では累加347㎜、時間最大雨量37㎜(12日午後6時)の大雨が観測された。この降雨に伴い八ッ場ダムの貯水位は518・8mから573・2mまで、約54m水位が上昇した。
平常時最高貯水位(常時満水位)が583mのため残り10mまで迫った。
○15日の関東地方整備局発表
10月15日午後6時ごろ、平常時最高貯水位(常時満水位)標高583m に到達し、貯水率が100%となった。
今後、満水状態を約1日継続したのち、1日1m以下のスピードで水位を最低水位まで降下させ、試験湛水を完了する。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今回の台風では八ッ場ダムが持つ本来の洪水調節能力とは異なった意味での機能・能力を発揮しているため、関係者は八ッ場の整備効果だとは言えないと冷静。それでも貯水した分の洪水が直接的に下流へ流れていれば、大きな災害につながっていた可能性がある。事実として八ッ場ダムは効果を発揮したと言って過言はないだろう。

【関東地方整備局河川部集計】
台風19号における利根川上流ダム群(7ダム)の治水効果(速報)
7ダム合わせて約1億4500万立方mの洪水を貯留したという。その効果として利根川本川の八斗島(伊勢崎市)で1mの水位低下と推定している。
利根川の治水基準点となる八斗島は、計算最高水位が約5・1m。これは全ての利根川上流ダム群がない場合を仮定して算出したもの。
水位の基準は◇0・8m=水防団待機水位◇1・9m=はん濫注意水位◇3・9m=避難判断水位◇4・8m=はん濫危険水位。実際の水位は約4・1mでで氾濫危険水位の一歩手前までいっている。ダム群がない場合は約5・1mの水系となるため、非常に危険な状況だった。

【赤羽国交相発言】
八ッ場ダムも効果発揮
10月16日の参議院予算委員会

台風19号による記録的な大雨で多くの河川が決壊した一方で、越水を回避できた河川もあった。台風直後の10月16日の参議院予算委員会では、松山政司議員(自由民主党)が赤羽一嘉国土交通大臣に治水対策の効果などを質問した。
赤羽大臣は10時間にわたり氾濫危険水位を超過した利根川に関して、試験湛水を開始したばかりだった八ッ場ダム(群馬県)をはじめ、下久保ダム(群馬県・埼玉県)など利根川上流のダム群、渡良瀬川遊水地(群馬県)で洪水を貯留したことが越水を回避できた大きな原因だったと答弁している。
13日夜に関東地方整備局が埼玉県加須市で堤防から越水する恐れがあることを発表するなど事態は切迫していた。最終的に計画高水位にあと30㎝まで迫ったが「ぎりぎりのところで上昇が止まり、越水を回避することができた」と説明。八ッ場ダムを含む既設ダムで洪水調節容量の約6割を確保し「利根川流域の住民の安全な暮らしに大きく寄与するもの」と評価した。
八ッ場ダムは本格運用を前に10月1日から安全性確認のための試験湛水を始めたところで「まだ水位が低かったことから結果的には予定より多い容量の約7500万立方mを貯留することができた」とした上で「こうしたインフラ整備は防災・減災が主流となる安全、安心な社会づくりの根幹を成すものだと考えている。八ッ場ダムについては本年度中の完成に向けて引き続きしっかりと取り組んでいきたい」とした。

【総合的に治水機能を発揮】
利根川上流は国交省、水資源機構、県などが管理するダムがあり、洪水調節機能を発揮して、全体として下流域での大規模な水害発生を未然に防ぐことができた。また、渡良瀬遊水地も第1~3の各池に貯留することで洪水調節容量合計約1億7180万立方mに対して約1億6000万立方mを貯留している。
群馬県以外でも埼玉県春日部市にある首都圏外郭放水路が機能を発揮し、中川・綾瀬川流域の洪水を江戸川へ流している。
台風や集中豪雨などにより引き起こされる水害。それを防ごうと治水対策は総合的に進められている。その一方で、台風の大型化など降雨の状況も変化してきている。治水に携わる行政、建設業界、さらに流域の住民がそれぞれの立場から、地道に治水に取り組んでいくことが重要になってくる。

【堤防整備で浸水防ぐ】
烏・神流川流域では、下仁田雨量観測所で24時間雨量が607mmと観測史上最大を記録、山名観測所では水位が5・6mに達し、氾濫注意水位(2・6m)を3m超過した。烏川と鏑川が合流する高崎市阿久津地先では、浸水想定面積40・4■ha■、浸水想定人工186人、浸水想定戸数71戸に対して、堤防整備が完了したため河川氾濫による浸水被害は発生しなかった。

【赤羽一嘉国土交通大臣の視察】
赤羽一嘉国土交通大臣は2日、台風19号で甚大な被害を受けた嬬恋村や試験湛水中の八ッ場ダムを視察、現地の状況を確認した。大臣は先の国会でも八ッ場ダムをはじめ、下久保ダムなど利根川上流のダム群などで洪水を貯留したことが越水を回避できた大きな原因だったと答弁している。
赤羽大臣は視察した各地で、当時の状況や対応についての説明を受けた。視察後、赤羽大臣は被災箇所について「これだけの状況を目の当たりにして息をのまざるを得ない」。吾妻川の増水によって崩落した国道144号鳴岩橋を前に「1日も早い復旧復興に、全力をあげて取り組む」と語る。
八ッ場ダムに関しては「利根川の氾濫という危機的な状況を救ってくれた」との見解を改めて示した。
なお、嬬恋村の鹿沢観測所では観測史上最多雨量の457㎜/日を記録。鳴岩橋が崩壊したほか、全壊家屋6件、半壊家屋6件、床上浸水5件、床下浸水6件などの被害が出た。

八ッ場などダム群が活躍
ページトップ