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出水期までに本復旧完了を/県臨時補正が成立

2019/11/21 日本工業経済新聞(茨城版)

 台風15号や19号などにより被災した県内の住家や公共土木施設等の緊急復旧に向け、県が編成した補正予算案が19日の県議会臨時会で成立した。補正では一般会計に354億5900万円を追加。そのうち公共事業は145億4600万円。臨時会の答弁で大井川和彦知事は、被災した河川について「国の災害査定を受けており、査定が終了次第、出水期前の本格復旧を目指していく」と説明。不通となっているJR水郡線の西金~常陸大子間についても「一日も早い復旧を強く要望し、JRとの協議もスピード感をもって対応している」と答弁。そのほか被災した住宅や農業施設、中小企業などの復旧に全力で取り組んでいく考えを示した。


 県によると、台風19号によって河川では国県管理の65河川149カ所で堤防決壊や越水などがあり、道路では直轄国道3カ所、県管理道路107カ所で冠水や法面崩落などによる通行止めが発生した。

 県では被災直後から内水排除や法面崩壊箇所の早期啓開などの緊急対応を行い、決壊箇所や崩壊箇所の応急復旧工事を行い、11月8日までに全箇所の応急復旧が完了している。

 臨時会では伊沢勝徳議員(いばらき自民党)が公共土木施設の復旧の進め方などを質した。

 大井川知事は「県管理の公共土木施設は現在、国の災害査定を受けており、査定が終了次第、出水期前の本格復旧を目指している」と答弁。災害に強い県土づくりについては「国土強靱化を強力に推進していくことが極めて重要」とし、河川については「流下能力の大幅な向上が図られるよう、抜本的な河川改修の推進を国に要望している」と説明した。

 さらに今回の災害で県内各地の鉄道や道路が分断されたことを踏まえ「県内の主要道路を重要物流道路に指定し、災害時も物流を確保する強靭なネットワークの構築を目指していく」と答弁した。

 補正予算の公共事業費は145億4600万円。

 国補公共事業費は122億2700万円。多くが災害復旧事業費(111億2000万円)で、道路路面復旧や河川堤防・護岸の復旧、港湾の防波堤復旧、漁港の浚渫、農地の堆積土砂撤去、土地改良施設の復旧などに充当する。

 主な箇所は、道路が国道123号(水戸市、路体流出)など24カ所、河川が堤防決壊の藤井川(水戸市)、護岸崩壊の久慈川(大子町)など154カ所、土地改良施設が冠水した水戸市飯富地区の農業集落排水処理施設など1734カ所。

 県単公共事業費は23億1900万円。そのうち道路災害復旧費は6億円で、路体が流出した国道123号(水戸市)などで緊急対策を行う。

 河川災害復旧費は16億1300万円。護岸が崩壊した緒川(常陸大宮市)など165カ所で応急復旧や小規模な復旧工事を実施する。

 一方、被災した県有施設の復旧には4億6000万円。対象は浸水した鬼怒商業高校に1億5700万円、大子合同庁舎に3400万円、グラウンドは水海道第二高校や大子清流高校などに7500万円、警察施設では筑西警察署庁舎、神之池交番、鉄道警察隊庁舎、職員住宅に1700万円。

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