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災害への意識新たに 日本技術士会がセミナー

2020/02/08 山梨建設新聞

 日本技術士会・山梨県支部(熊坂治支部長)は1日、甲府市の県立図書館で災害についてのセミナーを開いた。県河川防災センターの望月誠一代表理事と甲府市危機管理室防災指導課の今村公二課長を招き、約3時間にわたり講演を行った。聴講者は地元の災害対策の歴史や現状について、メモを取りながら真剣な面持ちで聞いていた。

 国の直轄事業をはじめ多くの河川整備に携わった望月さんは、全国各地で水害が発生していることについて、ハード整備の不十分さを懸念。県内を流れる富士川についても「現時点での安全度は50%」と、さらなる対策の必要性を訴えた。

 ただ「富士川を完璧にするには2兆円は必要」と、莫大な経費が掛かるうえ、予算を投入したとしても県内の建設業者だけでは工事をさばききれないため、短期間での整備は現実的には難しいとの認識を示した。また仮に完璧な整備ができたとしても、近年猛威を振るう台風などによる水害全てを防ぐことは難しいとも付け加えた。

 住民の防災への意識については「行政頼りになっている。昔は浸水想定区域に住むのは自己責任との認識があった。洪水に備え船を用意している家もあった」と、自助の意識が薄れてきていると指摘した。

 今村課長は「甲府市の防災について」をテーマに講演。市内の64%を森林が占め土砂災害の可能性があることや、国道20号から南側の地域に河川が集中しているため、他の地域に比べ水害のリスクがあるとの現状を説明した。

 県内を含め広範囲に大きな被害が想定される南海トラフ地震(東海地震)については、これまで100~150年周期で発生。前回の安政東海地震(1854年)から、ことしで165年目に入ったことから「いつ起きてもおかしくない」と述べ、市として最大限準備や対策を進める考えを示した。聴講者に向けては避難場所の確認や防災備蓄品の用意など、日ごろから十分な備えをしておくよう呼び掛けた。



【写真1=防災をテーマに講演】

【写真2=望月代表理事】

【写真3=今村課長】

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